研究課題/領域番号 |
25410179
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
齋藤 良太 東邦大学, 理学部, 准教授 (90327974)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アルドース還元酵素阻害剤 / プテリン / 構造活性相関 |
研究実績の概要 |
平成25年度は、ボトリラジンBの6位に二環式複素環を導入すると、アルドース還元酵素の阻害能が向上することを見いだした。またドッキングスタディによって、この二環式複素環が標的酵素の「特異的ポケット」と呼ばれる部位と相互作用可能であることが示唆された。この部位との強い相互作用は阻害活性の向上のみならず、他の類似酵素に対する標的酵素の選択性を発現させるためにも重要である。一方、プテリン環はアミドやアミノ基を有する二環式複素環であり、本研究代表者は、このプテリンがこれらの官能基を介した水素結合によってタンパク質と強く相互作用することを既に見いだしている。これらの知見から、プテリン環はアルドース還元酵素の「特異的ポケット」との相互作用部位として有用であると考え、平成26年度はプテリン環を含むアルドース還元酵素阻害剤の開発を行った。合成は研究代表者が見いだした手法を用いて行い、プテリンの7位に種々のアミノ酸を有する誘導体を合成した。その結果、グリシンを導入しただけのシンプルな構造のプテリン誘導体が、優れたアルドース還元酵素阻害剤として知られるソルビニルと同等の阻害活性を示すことを見いだした。さらにドッキングスタディにより、プテリン環が「特異的ポケット」を構成しているTrp111とパイ-パイ相互作用しており、さらに、アミノ基とアミドカルボニル酸素がそれぞれThr113ならびにLeu300と相互作用していることがわかった。特にLeu300との相互作用は酵素選択性発現のために重要であり、プテリン誘導体が優れたアルドース還元酵素阻害剤となり得ることを初めて明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の実験手法の変更により酵素活性評価に遅延が発生していたが、平成26年度中に評価方法を確立し、速やかな酵素活性評価を行えるようになった。その結果遅延はほぼ解消し、予定通り研究を進められるようになっただけでなく新たな鍵構造の発見にも繋がった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、これまでに開発してきた阻害剤候補化合物の標的酵素選択性を評価する。具体的には腎臓等で解毒に関わっているアルデヒド還元酵素(ALR1)に対するアルドース還元酵素(ALR2)の選択性を評価する。またX線結晶構造解析についても引き続き検討する。これらの研究をとおして、臨床段階へ提供可能な糖尿病合併症治療薬候補を開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬・機器等を値引き額で購入できたため生じた差額である。
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次年度使用額の使用計画 |
試薬等の消耗品として使用する予定である。
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