研究実績の概要 |
1.ヒトアルゴノートタンパク質MIDドメインの機能構造に基づく5’-末端修飾による最適siRNA化学構造の探索 1-1.センス鎖5'-末端の化学修飾により次のことを明らかにした。(1)センス鎖5’-Tにより不安定化し, センス鎖が選択される確率が向上した。(2)センス鎖5’-アミノTもTと同程度に不安定化し, センス鎖が選択される確率が向上した。(3)センス鎖5’-アミノTが特にサイレンシングを妨げる訳ではない。(4)センス鎖5’-アミノTはRISC Loading Complexの形成, Ago2への積み込みを阻害しない。(5)センス鎖5’-アミノTの導入により、off-target効果は回避できる。(6)鎖選択はDicerとの結合, あるいはRISC Loading Complexの形成の際に決まっている。(7)センス鎖5’-アミノTによりアンチセンス鎖が選択される確率が向上する訳ではない。 1-2.アンチセンス鎖5’-末端修飾に理次のことを明らかにした。(1)アンチセンス鎖5’-アミノTはRLCの形成、Ago2への積み込み(RISCの形成)を阻害した。(2)アンチセンス鎖5’-Tにより不安定化し, アンチセンス鎖が選択される確率が向上した。 2. 両親媒性ペプチドRLnによるsiRNAの無毒性細胞導入法の開発 両親媒性ペプチドRLn-siRNA複合体は細胞膜をよく透過し、ヌクレアーゼによる分解に対して耐性で、細胞毒性も全くない。その膜透過性を向上させるために長鎖脂肪酸、PEG、細胞認識糖鎖、ガン細胞特異的リガンド、シグナルペプチドなどとのコンジュゲートを化学合成し、その細胞膜透過性、細胞毒性およびサイレンシグ効率を評価した。その結果、ある種の長鎖脂肪酸およびPEG鎖で修飾したRLn-siRNA複合体は細胞膜透過性が著しく向上すること見出した。
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