研究課題/領域番号 |
25410189
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
松田 知子 東京工業大学, 生命理工学研究科, 講師 (10319494)
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研究分担者 |
山中 理央 姫路獨協大学, 薬学部, 講師 (40454764)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | グリーンケミストリー / 二酸化炭素 |
研究概要 |
多種多様な場面で必要不可欠である有機合成は、一方で、酸化還元反応を伴うため、爆発性がある危険な物質や、枯渇の恐れがある触媒、溶媒等を用いなければならない場合もあり、安全な方法の開発が望まれている。本研究では、自然界に存在する安全な物質を用いて、超臨界二酸化炭素中で新規酵素を用いた酸化還元反応を検討し、安全で、しかも、災害などの想定外の状況においても環境への影響が可能な限り少ない有機合成反応を確立することを目的としている。 酸化反応では、現在までに、ケトンをエステルに変換するBaeyer-Villiger酸化反応を触媒する、高い選択性と広い基質特異性を持ち、空気中の酸素を酸化剤として用いる酵素(Baeyer-Villiger monooxygenase)を発見しており、本研究により、その諸性質を検討した。D2O中でアセトンを基質とした反応を行ったところ、BV酸化による代謝の生成物であるメタノールの生成が確認できた。また、本酵素の培養条件の検討を行い、培養期間を最適化し、さらに、炭素源はアセトンが適している事を見い出した。 還元反応においては、チチカビ(Geotrichum candidum)由来のアセトフェノン還元酵素(APRD)が、芳香族及び脂肪族のケトンを還元し、その立体選択性が高いことを見出しており、本研究により、高い立体選択性で還元することが難しいとされている小さな脂肪族を基質として、諸性質を検討した。基質特異性を調べた結果、メチルケトンを選択的に還元することが分かった。また、温度の影響を検討した結果、50℃で最も高い不斉収率が得られた。 このように、酸化・還元反応について、それぞれの検討を並行して行っており、今後、さらなる諸性質の検討やアミノ配列の決定など、有機合成反応に応用できるように研究を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
酸化反応、還元反応を、それぞれの担当者とともに並行して検討を行っており、両反応ともに、研究計画に沿ってほぼ順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の結果も踏まえたうえで、今後予定されている実験を進めていくにあたり、主となる実験担当者が酸化・還元反応ともに卒業により変更となるため、その引継ぎを確実に行ったうえで、今後の実験を推進していく必要がある。
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