研究課題/領域番号 |
25410194
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
中辻 洋司 大阪工業大学, 工学部, 教授 (00127268)
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研究分担者 |
村岡 雅弘 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (80411411)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | クリプタンド / 結晶解析 / セシウムイオン |
研究実績の概要 |
cis体とtrans体の混合物として得られた2,12-(ビスブロモメチル)-2,12-ジメチル-24-クラウン-8から、シリカゲル中圧カラムを用いて酢酸エチル/ヘキサン混合溶媒で展開し、cis体とtrans体をそれぞれ分離した。さらに、cis体と2,2’-ジヒドロキシジフェニルエーテルとを反応させ、目的とするジベンゾ[24.24.20]クリプタンド(1)を合成した。つぎに、クリプタンド1の環サイズとアルカリ金属イオンサイズの適合性を評価するために、1とCsIおよびKIとの錯体の単結晶を作成し、X線結晶構造解析を行った。1·CsI錯体ではクリプタンドを構成する11個の酸素原子のうちで、ジフェニルエーテル部位を含まない、すなわちオキシエチレン鎖のみから成る24-クラウン-8環の8個とジフェニルエーテル部位の2個の計10個の酸素原子が配位に関与していることが明らかとなった。Cs+は24-クラウン-8環の全ての酸素原子と配位していることから、クリプタンド1がCs+と錯形成する際には24-クラウン-8環が有効に機能していることが示唆された。一方、1·KI錯体では、ジフェニルエーテル部位を含む24-クラウン-8環の8個と20-クラウン-6環を形成する1個の計9個の酸素原子が配位に関与していた。 1·CsI錯体の10配位より1配位少ないことから、配位数はイオンサイズに対応していることが示唆される。これらの結果から、Cs+とK+では配位に使用される酸素原子は、その数だけではなく、エーテル酸素の種類も異なることが明らかとなった。 現在、各種アルカリ金属イオンに対する錯形成能を液液抽出実験により評価中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的とするセシウムイオン捕捉剤である新規ジベンゾ[24.24.20]クリプタンドを合成し、さらにセシウムイオンとの錯体の結晶解析に成功しており、ほぼ計画通りに研究は進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、合成したクリプタンドのアルカリ金属イオンに対する錯形成能を評価するとともに、その知見並びにX線結晶解析の結果に基づき、セシウムイオンに対する捕捉能の向上を目指して、より適正な環サイズをもつクリプタンドを開発する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
合成実験の進捗状況により、薬品購入に係る消耗品費の使用が予定よりも少なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
薬品購入に係る消耗品費および旅費に使用する予定である。
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