| 研究実績の概要 |
cis体とtrans体の混合物として得られた2,12-ビス(ブロモメチル)-2,12-ジメチル-24-クラウン-8から、cis体とtrans体を分離し、cis体と2,2’-ジヒドロキシジフェニルエーテル並びにジエチレングリコールとをそれぞれ反応させて、ジベンゾ[24.24.20]クリプタンド(1)並びに[24.24.20]クリプタンド(2)を合成した。また、参照化合物として、2本の電子供与性側鎖をもつtrans-2,12-ビス(2-メトキシエトキシメチル)-2,12-ジメチル-24-クラウン-8(3)をあわせて合成した。化合物1～3の各種アルカリ金属イオン（ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン）に対する錯形成能を、ピクリン酸イオンを対イオンとし、ジクロロメタンを有機層とする液液抽出実験で評価した。抽出実験の結果、化合物1のナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオンに対する抽出率はそれぞれ24％、79％、80％、79％であり、また、化合物2の抽出率はそれぞれ41％、81％、82％、83％であった。一方、化合物3の抽出率は、それぞれ25％、56％、57％、56％であった。この結果、クリプタンド誘導体1および2は対応する電子供与性側鎖をもつクラウンエーテル誘導体3に比べ、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオンに対してはるかに高い錯形成能を示したものの、選択性の点では改善の余地があることがわかった。この抽出結果と前年度に報告した化合物1とCsIとの錯体のX線構造解析の結果を考え合わせると、24-クラウン-8環を一つ小さくした21-クラウン-7環を基本とするクリプタンド誘導体が最もセシウムイオンサイズに適合する可能性が高いことが示唆された。
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