研究実績の概要 |
オゾンマイクロバブル発生装置を用い、種々のゼオライトを固体触媒として用いた促進酸化処理による難分解性有機物質の分解挙動の調査を実施した。難分解性有機物質として、農薬モデル物質である2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)を用いた。可視・紫外分光光度計を用いて分解挙動を追跡した結果、親水性ゼオライトを触媒として用いた場合、明らかな分解の促進が確認された。一方、全有機体炭素計を用いて分解挙動を追跡した結果、触媒の有無による分解速度には有意な差が認められなかった。このことは、2,4-Dの分子構造を壊すことができるが、有機体炭素を無機炭素まで転換することができないことを意味する。強い攪拌流によって触媒であるゼオライト・ペレットが壊れることを避ける目的で、ペレットをナイロン袋に詰めて実験を行ったため、処理水が十分に触媒と接触できなかったこと、及び、分解時に生成する塩素がラジカルを失活させていることが原因として考えられる。 平成25年度に見出した「動的手法」において大量の活性酸素の生成が認められたことから、触媒であるゼオライト粉体を処理水に分散し、そこに直接オゾンを吹き込む、「動的手法」を模した促進酸化処理を実施した。難分解性有機物質として、水質汚濁物質の代表であり、塩素を含まないフミン酸を用いた。可視・紫外分光光度計を用いて分解挙動を追跡した結果、ゼオライト触媒の有無によって分解速度定数に約2倍の差が認められた。全有機体炭素計を用いて分解挙動を追跡した結果、分解速度に若干の改善が認められる触媒と全く改善が認められない触媒があることが判った。この事は、分解生成物がラジカルを失活させていることを強く示唆している。脱色後の処理水は僅かに黄色味を帯びており、200nm付近に極めて大きな吸収極大が観察されることから、分解生成物はカルボン酸であると推測される。
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