研究課題
非ハロゲン系難燃剤の開発が期待されるが、リン原子の配位子となる有機構造の多様性は、市販原料の入手性に制約がある。これまでに、新規構造として2-フェニルフェノール骨格を芳香環で連結した化合物へ展開したが、溶剤に対する低溶解性のために取扱いに問題があった。そこで、溶解性の向上のために連結基として脂肪族系置換基を用いることとした。2-フェニルフェノールのメチルエーテルに対して二塩基酸クロリド(セバチン酸ジクロリドおよびグルタル酸ジクロリド)を作用させることにより、連結化合物であるジケトン体へ誘導した。脱メチル化することによりフェノール体へと変換した。トリフルオロメタンスルホン酸を利用するリン原子導入反応を行ったところ、溶媒に不溶な化合物が副生した。NMR測定において、すべてのシグナルがブロード化したことから、アシル基の転位による重合化が進行したと推測した。そこでジケトン体を還元しカルボニル基をメチレンとした。これらの化合物に対してリン原子導入反応を行ったところ、対応するリン原子を含む生成物を得ることに成功した。2-フェニルフェノール骨格をアルキル基で連結したこれらの化合物の耐熱性評価として、熱分析を行ったところ、分解温度が大きく向上したことより、高い熱安定性を有することを見出だした。この手法を用いることで対象樹脂に合わせた分解温度を有する難燃剤の合成が期待できる。
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Synlett
巻: 26 ページ: 960-964
10.1055/s-0034-1380127