研究課題/領域番号 |
25410212
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
井田 旬一 創価大学, 工学部, 教授 (20409783)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 感温性機能ゲル粒子の創製 / 誘導加熱 / 温度応答ポンピング / 光触媒能評価 |
研究実績の概要 |
本研究では、感温性ゲル粒子に機能性粒子として、光触媒能を持つ酸化チタン(TiO2)および磁性を持つ四酸化三鉄(Fe3O4)のナノ粒子を複合化し、それらの機能を協調的、協奏的に用いる事で高度に機能集積した有機-無機複合材料を創製する事を目的としている。 今年度の研究では、感温性ゲルにTiO2ナノ粒子を導入し、まず温度応答性ポンピングによる基質や生成物の強制拡散のない状態で光触媒活性を検討した。またゲル粒子の粒径制御のため、粒子作成時に使用する滴下ノズルのサイズが得られるゲル粒子の粒径に与える影響を検討した。 光触媒能評価実験は、基質としてメチルオレンジ(MO)を用い、感温性ゲルの下限臨界溶液温度である32℃より低温である25℃と、高温である40℃の条件下において、それぞれTiO2導入量を変化させたゲル粒子を用いて行った。結果より、TiO2導入量の影響については、予想通り、TiO2量が増加するにつれて、見かけの光触媒活性が上がる事が分かった。一方、温度の影響については、低温の方が見かけの触媒活性が高い事が分かった。これは低温ではゲルが膨潤状態にあるため、基質や生成物の拡散が早く、この効果が温度上昇による反応速度増加の効果を上回ったためと考えられた。また、ゲル粒子作成時に使用する滴下ノズルのサイズを変更する事で、ゲル粒子の粒径制御は可能であるが、ゲル粒子の粒径が小さくなるほど重合時のNIPAMモノマーのゲル粒子外への漏出割合が増えるため、この点を考慮する必要が有る事が分かった。 これにより、最終年度に行なう総合的な実験及びシミュレーションに必要な検討はぼぼ終える事が出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
科研費申請時に設定した以下の研究計画・方法の4項目のうち、今年度までで3項目を順調に終える事が出来、最終年度に最後の項目を残すのみとなった。
研究計画: 1.感温性機能ゲル粒子の調製と温度応答性評価、2.局所加熱特性評価、3.光触媒能評価、4.温度応答ポンピングによる光触媒能向上実験
また最終年度に行なう予定のシミュレーションについても既に着手しており、全体としておおむね順調に進展していると判断した。今年度までのデータは投稿論文として査読付きのジャーナルに掲載されている。
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今後の研究の推進方策 |
26年度の光触媒能評価実験では、温度一定のスタティックな条件で光触媒能評価実験を行ったが、27年度の実験では、交流磁場を間欠的に印加し、温度応答ポンピングを行いながら実施する。これにより、温度応答ポンピングによって実際に光触媒能の向上が可能かどうか、また向上した場合、どの程度向上するのかを評価する。また、温度応答しない時の光触媒反応の反応速度と、温度応答による体積変化の実験結果から、温度応答ポンピング時の反応速度をシミュレーションし、実験結果と比較検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
高周波磁場装置の購入を初年度に150万円で予定していたが、予備実験の結果、当初予定していたスペックでは足りず、より高性能で高価な物を購入する必要に迫られた。そのため、装置に付随して必要な冷却器の購入を初年度はあきらめ、今年度にする必要が生じた。更に、購入を予定していた放射型温度計と恒温振盪水槽の購入を断念せざるを得なくなり、結果として若干使用額に差が生じる事となった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は当初の計画通り、最終実験に必要な消耗品購入と最終成果の発表のための交通費・宿泊費等に使用する予定である。
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