研究課題/領域番号 |
25410217
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
山本 貴広 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 主任研究員 (70392678)
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研究分担者 |
吉田 勝 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 研究部門付 (40344147)
木原 秀元 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 研究グループ長 (60282597)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 液晶 / ゲル / 自己修復 |
研究概要 |
微粒子/液晶複合ゲルのレオロジー特性に与える液晶相構造の影響の解明として、ネマチック相、スメクチック相、コレステリック相を発現する液晶を用いて検討した。ネマチック相に比べて、分子配列の層構造を有するスメクチック相において、ゲルの丈夫さの指標である限界ひずみの低下を抑えつつ、ゲルの硬さの指標である貯蔵弾性率を高めることができることを明らかにした。同様に、分子配列のらせん構造を有するコレステリック相においても検討を行ったところ、スメクチック相における結果とは逆に、限界ひずみと貯蔵弾性率は、ネマチック相に比べて、らせん構造のピッチが短くなるにつれ低下することを明らかにした。これらの結果は、分子配列のミクロ凝集構造がゲルの力学物性に大きな影響を与えることを示しており、ゲルの力学物性は、層構造導入により向上し、らせん構造導入によって低下することがわかった。一方、微粒子/液晶複合ゲルのレオロジー特性に与える高分子添加の影響の解明については、微粒子表面に化学的に高分子鎖をグラフトさせた微粒子を用いて検討を行ったところ、従来の材料よりも貯蔵弾性率が約10倍高いゲルを得ることができた。さらに、ゲルの力学特性は高分子鎖の分子量によって大きく影響を受けることを明らかにした。また、従来の材料は塑性変形特性を示すため、表面の変形を自律的に復元することが不可能であったが、今回開発した材料は、液晶による高分子鎖の可塑化により、高分子鎖が部分的にゴム状態となり、弾性変形を示すようになったため、表面変形の自律的復元が可能となった。さらに、光応答性材料を組み合わせることによって、光ゲル-ゾル転移を利用した表面破断の光修復も可能であり、表面変形の復元と表面破断の修復の両方の損傷修復が可能な従来にない自己修復ゲル材料を創製することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、微粒子/液晶複合ゲルのレオロジー特性に与える液晶相構造について、ネマチック相、スメクチック相、コレステリック相を用いた比較を行うことができた。また、微粒子/液晶複合ゲルのレオロジー特性に与える高分子鎖導入の効果についても、おおむね計画通りに検討することができた。
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今後の研究の推進方策 |
微粒子/液晶複合ゲルのレオロジー特性に与える高分子鎖導入の効果について、さらに詳細な検討を行うために、微粒子/液晶複合ゲル中で、高分子重合を行うことを検討する。その際、重合性モノマーには、非液晶性モノマーだけでなく、媒体である液晶との相互作用を向上させる目的で、液晶性モノマーについても検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
微粒子/液晶複合ゲルのレオロジー特性に与える高分子導入の影響の詳細検討において、非液晶及び液晶性モノマー等の購入や合成費用、さらに重合用装置を当初予定していたよりも増額する必要があるため。 各種モノマーや光重合開始剤の購入もしくは合成費用に使用する。また、光重合用装置の整備に使用する。さらに、研究開発を加速するため、実験補助者の雇用に使用する。
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