研究課題/領域番号 |
25410218
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
後藤 博正 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (40292528)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Circular polarized light / polymerization / electrolyte / laser |
研究概要 |
結晶中および液晶中での電解重合を行い、光干渉をもつポリマーの作製を行った。まず電解液を冷却し、モノマーを含む電解液を凍結させた。次に、ここに電位を加えて電解重合を行った。重合後はテトラヒドロフランなどの有機溶媒で洗浄し、マトリックスである結晶を取り除いた。得られたポリマーは作用電極上に薄膜の形で生成した。この光学模様を偏光顕微鏡、走査型電子顕微鏡で観察した。 また、円偏光レーザー照射下において、電解重合を行い、キラルなポリマーを得た。この方法を便宜的に「絶対不斉電解重合法」と命名した。 この方法においては1000mWの緑色レーザーを右あるいは左回りの円偏光板を通し、その後この光が電解重合セルに照射されるように設置した。電解液中にはモノマー、支持電解質、アセトニトリル(溶媒)が含まれる。これを石英セルに充てんし、参照電極、対向電極、作用電極を設置した。そしてサイクリックボルタンメトリーで電位をスキャンしながら電位を加え電解重合を行った。得られたポリマーの電気化学的特性、光吸収スペクトル、円偏光二色性、赤外線吸収スペクトル測定を行った。その結果、光により不斉誘導された結果、得られたポリマーは光学活性を示すことが分かった。これにより、円偏光による絶対不斉重合が実証された。本結果は共役系主鎖および発色団をもつ側鎖が円偏光レーザーにより影響を受け、片方向のらせんをもつもののみがデポジットされたものと思われる。また磁場中で配向方向を制御したポリマーの作製を行い、光学的性質を評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
結晶中での電解重合に多種の電解結晶を用いて成功したこと。これは次に磁場中結晶電解重合につながる。 円偏光レーザーによる絶対不斉重合に成功した。またキラルスメクチックC相での電解重合にも成功した。
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今後の研究の推進方策 |
モノマー種、およびレーザー光の波長を変えて絶対不斉重合の汎用性を広げる。 パルス円偏光レーザーを用い、モノマーを含む電解液に円偏光を照射する。このときパルス光は、光チョッパーを用い作成する。レーザーは特定の発振波長を用いる。用いるレーザーの発振波長帯域に吸収波長をもつ高分子を合成し、そのモノマーを本電解重合に用いる。円偏光は円偏光板(1/4 直線偏光板)で作成する。電解重合の際には、印加する電圧のスキャン速度、およびモノマー濃度、セルの表面温度に留意する。そして得られたポリマーの構造、円偏光二色性を評価する。本項は光による絶対電解不斉重合と呼べる新しい電解重合の開発を基にしている。この手法の確立と、得られた光学活性高分子の円偏光二色性、電気化学的特性の評価を行う。本方法によりアキラルなモノマーから円偏光二色性をもつ高分子の合成に成功しているがこれを確立させ、より強い円偏光二色性を示し、酸化還元による円偏光二色性スペクトルの変化を示すポリマーを合成し、評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究は進行していたが、予定していた実験を実験時間不十分のため実行できず、試薬の購入を行わなかったため。 試薬の購入を行う。
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