2 V印加によりアクチュエータは素早くアノード側に屈曲することがわかった。電圧を切ると素早く元の形状に回復し、これが可逆的に起こることが明らかになった。イオン液体(IL)を含まないポリウレタン(PU)エラストマーに同じ電圧を印加しても全く屈曲しないことから、アクチュエータ応答にILが重要な役割を果たしていることがわかった。実際、電圧のオン・オフに応答して充電・放電電流が流れ、ファラデー電流はほとんど観察されないことから、アクチュエータの屈曲はPU内におけるILの分極に基づくことが明らかになった。アクチュエータ素子両面における長さ変化の割合を示すひずみ(γ)は、IL濃度および印加電圧の増加とともに増大し、IL = 40 wt%、2 Vでγ = 0.32%であった。最大電流値は印加電圧にほぼ比例するのに対し逆にひずみが低下するのは、高分子鎖の緩和やPEDOT/PSS電極の電気化学反応が考えられる。アクチュエータ挙動がIL/PUゲルのイオン伝導度(σ)や静電容量(Cdl)の結果とよく一致することから、カチオンとアニオンの体積や輸率の異なるイオン液体の分極によりカソードとアノードでひずみに差が生じ、結果としてIL/PUゲルがカソード側に屈曲したと考えられる。興味深いことに、周波数の増加とともにひずみは低下するが、10 Hz以上でも応用していることがわかった。これは、ソフトでフレキシブルなIL/PUゲルとPEDOT/PSS電極が、それぞれ高いイオン伝導度と電気伝導度有を有するためである。実際、IL/PUゲルアクチュエータは1 Hzで7万回以上(約20時間以上)動作することから、優れた安定性と高い繰り返し性を有することが明らかになった。
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