ゴム材料を繰り返し延伸/緩和を行うと弾性率や応力が低下することが知られており、分子鎖切断がその主要な要因とされる。化学架橋ゴムのみならず、物理架橋ゴムである熱可塑性エラストマーでもこの現象が見られ、より顕著な応力軟化が起こる。熱可塑性エラストマーはハードセグメントとソフトセグメントからなるため、それらの寄与を分離して考察する必要がある。しかしながら、数十nmレベルの高次構造の複雑性ゆえ、Mullins効果の解明は容易ではなく、完全に理解されているとは言えない。そこで本研究では、延伸/緩和にともなう階層性高次構造の変化の挙動を明確にした上で、Mullins効果の主要因を解明することを目的とした。
|