今後の研究の推進方策 |
1) ナノシートの物性調査:アミド結合型固定化トリプシンの合成法を確立する。得られたトリプシン固定化GOナノシートの合成の確認は、前年度と同様な元素分析法およびFT-IR測定およびAFM装置を用いた観察により評価する。 2) 酵素活性能の調査:トリプシン固定化ナノシートのタンパク質 (カゼイン) の分解能に及ぼす溶液のpH, 温度, イオン強度およびエタノール濃度の影響について、詳細に調査する。 3) 固定化酵素の応用:トリプシン固定化ナノシートを種々のタンパク質解析用の分解酵素として応用するための溶液環境 (pH, イオン強度, 温度等)を確立する。タンパク質解析のためのモデル試料の粗精製アルブミンやグロブリン溶液は、(財)化学及び血清療法研究所より提供を受ける。 4) 物理的・化学的評価:上記試料を用いた トリプシン固定化GOナノシートのタンパク質分解活性能は、トリプシンが試料タンパク質を分解して遊離させる種々のアミノ酸を核磁気共鳴(NMR)分光法により分析して評価する。NMR装置は、熊本大学既存の装置を用いる。NMR測定結果の詳細な解析が困難な場合は、熊本大学工学部のNMR解析担当技術員に、解析を依頼する。 5) 総合判断と成果の公表:得られた結果を総合判断し、開発されたトリプシン固定化GOナノシートを用いた新規なタンパク質解析システムが、実用化できるかどうかについて評価する。特許申請を試みる。国際学会および国内学会での成果発表および技術情報交換を行い、応用展開を目指す。
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