研究課題/領域番号 |
25410234
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪市立工業研究所 |
研究代表者 |
木村 肇 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 有機材料研究部, 研究主任 (60416287)
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研究分担者 |
大塚 恵子 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 有機材料研究部, 主幹 (50416286)
松本 明博 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 企画部, 企画部長 (40416285)
大石 好行 岩手大学, 工学部, 教授 (90194076)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 熱硬化性樹脂 / イミド / フェニルエチニルカルボニル / 低温硬化 |
研究実績の概要 |
本研究では、両末端にフェニルエチニルカルボニル基、分子内にイミド基を2個有する低温硬化型の新しい熱硬化性イミド化合物を合成し、その硬化挙動と得られる硬化物の特性を明らかにすることを目的とした。 今年度は、新しい構造の熱硬化性イミド化合物として、合成原料に新しい骨格のジアミンを用い、酸無水物であるNEXAM Chemical社製のPETA(フェニルエチニルカルボニル基を有する酸無水物)と反応させ、その中心骨格に1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン)骨格、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン骨格および4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル骨格を導入した新しい熱硬化性イミド化合物の合成に成功した。合成方法については既に昨年度確立している。 示差走査熱量測定の結果、フェニルエチニルカルボニル基の硬化反応に由来する1つの発熱ピークが観測された。そのピーク温度は約200℃前後であり、従来のフェニルエチニル基を有する熱硬化性イミドオリゴマーに比べて、その硬化温度を370℃から200℃程度にまで約170℃程度低下させることが可能であることが明らかになった。また得られる硬化物は、動的粘弾性測定の結果、tanδのピーク温度から求めたガラス転移温度が約190℃前後であり、耐熱性が優れていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新規熱硬化性イミド化合物の合成方法は確立できており、どの構造のものでもスムーズに合成できるようになった。 しかしながら、合成した熱硬化性イミド化合物は加熱しても硬化物になるものと、ならないものが存在し、合成したすべての化合物について、その硬化物の作製およびその特性評価が難しい状態である。 本年度に再検討した圧縮成形による硬化物の作製もうまくいかなかった。
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今後の研究の推進方策 |
合成した熱硬化性イミド化合物の中で、加熱して硬化物になることが確認できたのは、3種類の化合物(1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン)骨格、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン骨格および3,4-ジフェニルエーテル骨格)のみであった。今後は、これらの3種類の骨格の熱硬化性イミド化合物について、より詳細な検討を行いたいと考えている。具体的には、これらの化合物を紙に含浸・加熱して紙基材積層板を作製し、これらの積層板の特性評価を行うこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は、圧縮成形の際に用いる新しい金型の購入費用として費用を計上していたが、その前段階である硬化可能である熱硬化性イミド化合物の選別に時間を要したため、金型を新しく購入する段階まで研究が進行せず、残額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は合成する熱硬化性イミド化合物について、従来のような硬化物ではなく、新しく積層板を作製してその特性を評価するため、そのための費用に充てたいと考えている。
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