研究課題/領域番号 |
25410242
|
研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
松尾 吉晃 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20275308)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | ガスセンサ / ピラー化 / シリル化 / 半導体性層状化合物 |
研究実績の概要 |
オクチルトリクロロシランによってシリル化した酸化黒鉛の薄膜を3-アミノプロピルトリエトキシシランもしくはメチルトリクロロシランによってシリル化した後、真空下500℃で熱処理することによって、層間距離が約1.5nm程度のピラー化炭素薄膜を作製し、これらのジエトキシエタンやジメチルホルムアミド等の種々の有機分子に加えて、有機分子を検知する際に共存する可能性の高い水に対する応答性を調べた。この結果、3-アミノプロピルトリエトキシシランによって短時間もしくはメチルトリクロロシランによってシリル化したものから得たピラー化炭素が、最小分子幅の小さな(0.4nm未満)他の有機分子の蒸気に曝した場合に抵抗が増加しこれらを検知できたにもかかわらず、水蒸気に曝した場合には全く変化しないことを見出した。前者では、ピラー表面がヒドロキシル基に覆われていて親水的であるため水分子は層間に侵入できると考えられることおよび、ピラー密度の大きな試料では抵抗変化が見られたことを考えると、ピラー密度が小さいため吸着した水分子は疎水性の炭素層からは離れた位置に吸着し、電荷移動が起こらないためと考えられた。また後者では、ピラー表面が疎水性のメチル基によって覆われているため水が吸着できず、抵抗変化が見られなかったものと思われ、このことはメチル基を含む粉末状の試料に対して行った水吸着測定で水がほとんど吸着しなかったことからも裏付けられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
半導体性ピラー化層状化合物のうちまず、室温での応答が可能なピラー化炭素について検討を行い、合成条件を変化させることによってサイズ選択性を付与できること、また、シリル化剤の変更によって疎水/親水性の制御に成功したが、薄膜形成とその後のシリル化過程の反応制御に手間取ったため、計画していた混合ガスの検知を行うとともに、他の層状半導体の薄膜形成まで実施することが出来なかった。
|
今後の研究の推進方策 |
現在では、ピラー化炭素前駆体のシリル化酸化黒鉛薄膜の形成と再シリル化反応過程をほぼ制御することに成功している。また、シリル化層状チタン酸薄膜形成についてはすでに確立しており、再シリル化を行いピラー化物を得られる段階にきている。これを元に高温でのガスセンシング装置の構築を急ぎ、種々のガスに対応できるセンサのライブラリを構築する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
「現在までの達成度」の項目に示したとおり、ピラー化炭素薄膜の作製条件の最適化に手間取ったため、さらに高温の条件化で作動するピラー化チタン酸等他の半導体性ピラー化物の薄膜作製およびセンサ特性の解明に必要な器具類の購入は、今年度行うこととしたため、使用額に差が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
上記の通り、加熱ユニットや、ガスフロー装置等、高温の条件化で作動するピラー化チタン酸等他の半導体性ピラー化物の薄膜作製およびセンサ特性の解明に必要な器具類の購入を行う。
|