アルキルトリクロロシランでシリル化した層状化合物へ長鎖のアルキルアミンを添加することで有機溶媒中に分散できるようにし、得られた分散液を基板上にキャストすることで薄膜を作製、さらにこれをシリル化した後に、不活性雰囲気下で熱処理することによって、ピラー化層状半導体薄膜を得ることに成功した。この方法は、半導体性を示す層状化合物の中でチタン酸および炭素のピラー化に有効であった。 このうち酸化黒鉛をホストとして用いて得たピラー化炭素薄膜は導電性が高く、室温下においても細孔中にガスが吸着した際の抵抗変化によりガス検知を行うセンサとして機能した。ピラーの前駆体となるシリル化剤には、3-アミノプロピルエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルトリクロロシラン等を用いることが可能で、これらのシリル化剤や反応時間等を変化させることで、ピラー間隔や層間距離を制御することが可能であった。 ピラー化炭素薄膜の中では、500℃での熱処理でも脱離しないメチル基を含むものが、ピラー間隔が狭いためその層間にサイズが小さくピラー間の隙間を通過できる分子のみを吸着できるようになり、これらにのみ応答するものとなることを見出した。さらに、メチル基を多く含む薄膜では疎水性も高くなり、水分子が侵入できなくなった。このため、他のサイズの大きな分子や水分子には応答せず、呼気中に含まれ体内での脂肪燃焼の指標となるアセトンのみに応答する薄膜を作製することに成功した。
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