研究課題/領域番号 |
25410243
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
矢澤 哲夫 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50347522)
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研究分担者 |
嶺重 温 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00285339)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 多孔質ガラス / ガラスセラミックス / 導電性 |
研究実績の概要 |
酸化物型燃料電池(SOFC)用の電解質の材料として中温領域において既存のイットリア安定化ジルコニア(YSZ)よりも高いイオン導電性を示すランタンシリケート(LSO)をターゲットとして、当該電解質を用いた中温温度域作動型SOFC用Niアノード電極の作製を試みた。即ち、石英ガラスを基材としてLSO / Ni電極の作製を行った。この方法は石英ガラスを基材とすることでアノードとして必要な成形性、耐久性、電解質への密着性が向上するという利点を兼ね備えている。 具体的には、石英ガラスを、ハンマーで砕き乳鉢で粉砕後、ボールミル粉砕を48時間おこなった石英ガラス粉末(SiO2)とNiO粉末、デンプンを重量比で、1:1:1(試料1)、1:2:1(試料2)、1:3:1(試料3)の比で混合し、25kNの加重で1分間プレス成形を行い、ペレットを作製した。得られたペレットに対して500℃でデンプンを熱分解し、その後1200℃で焼結を行うことでNiOを含んだ多孔質ガラス電極試料の作製を行った。 さらに、作製した多孔性ガラス電極試料にLa(NO3)3エタノール溶液を1時間含浸、熱処理を行うことで、試料にLSOを導入した。その後、800℃において水素還元を行い試料内にNiの析出を行った。 それぞれの試料に対するX線回折測定より、Ni及びLSOのピークを確認した。また、NiOのピークは確認されなかったことにより、Niの水素還元は完了しているものと考えられる。また、それぞれの試料の直流導電率を二端子法によって測定した。試料1及び2において、共に-6~-5乗ジーメンス(s/cm)という低い導電率しか示されなかったが、更にNiを添加した試料3の導電率は大幅に向上し、500~600℃において-1~0乗ジーメンスの非常に高い導電率を得ることに成功した。これは、Niの更なる添加によって、Niの導電パスが繋がった結果によるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電解質の研究を進める過程において、当該電解質の高い表面プロトン伝導性を見い出し、かつ当該法の特徴は多孔質体として得られるという点にあるので、こうした特徴を最大限に活かせる電極としての応用に焦点をあてて研究を展開した。電極としての電子伝導性については、目標を大きくクリアーしたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度が当該研究の最終年度にあたるので、燃料電池セルを組み、発電することによって、当該燃料電池の実際のパフォーマンスを確認したい。また、高い電子伝導性を有する、In2O3-SnO2系、TiO2系の透明な多孔質電極の作製も試みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、燃料電池用の電極の開発に焦点あて研究を行ったので、燃料電池の発電のパフォーマンスを確認するには至らなかったので、燃料電池セル等を組むための費用に残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、本年度の知見を参考にし、燃料電池セルの作製を始めとする燃料電池関連の費用にあてたい。
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