ホウ酸ナトリウムをフラックス(融剤)として添加することで,典型金属の酸化物に固溶体として微量に含まれる鉄,コバルトなどの元素が,水素雰囲気中で還元が促進され,金属単体として表面に析出することを見出した。鉄を0.50質量パーセント固溶体として含むアルミノシリケートにホウ酸ナトリウム(ナトリウム/ホウ素比3)を添加して950℃の水素中で2時間焼成したところ,金属光沢を有する鉄が表面に析出した。さらに,固溶体として含まれるコバルト,インジウムなども熱力学的な機序に従って,還元分離できることが示唆された。この現象は廃棄物等からの希少金属の分離,高融点金属の低温における精錬などへの応用が期待できる。
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