研究課題/領域番号 |
25410251
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
藤本 憲次郎 東京理科大学, 理工学部, 講師 (70366441)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | リチウムイオン二次電池 / コンビナトリアル化学 / 層状岩塩 |
研究概要 |
リチウムイオン二次電池正極材として一般的に用いられているLiCoO2の代替材料の探索を多元素置換系で行うためにコンビナトリアル材料探索技術を活用し、本申請では層状岩塩型複合酸化物のほかにオリビン型やスピネル型などの複合酸化物についても代替材料の探索を推し進めるのが目的である。平成25年度では、層状岩塩型結晶構造を有するLiCoO2のCoサイトを他の複数の遷移金属により置換したLi(Ni,Co,Fe,Ti)O2およびFeをMnやCrへ置換した同型化合物の作製を進めてきた。 本申請課題をスタートする前にLi-Ni-Co-Fe-Ti系複合酸化物の反応図を作成し、その結果を参考にLi(Ni0.4Co0.2Fe0.2Ti0.2)O2およびLi(Ni0.4Co0.2Mn0.2Ti0.2)O2、Li(Ni0.4Co0.2Cr0.2Ti0.2)O2の作製と電極評価を行った。試料の作製には溶液プロセスのひとつであり、コンビナトリアル材料探索技術の基盤概念である静電噴霧熱分解法を用いた。結果、Fe系およびMn系とも、初期放電容量はLiCoO2と比べ10%ほどの向上が確認された。また、50サイクル後の要領維持率ではFe系が75%付近に低下するのに対し、Mn系では100%を維持する結果となった。なお、Cr系では固溶体としての作製は困難であった。 FeおよびMn系のサイクル特性の相違を検討するとともに、遷移金属サイトの元素の組成を変化させたものに関しても同様の調査、比較検討を行う必要性があることが分かり、平成26年度研究の予定を平行して実施予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
層状岩塩化合物LiCoO2のCoサイトへのFeやMnの置換およびレドックスに寄与しないTiの置換に対してリートベルト解析による構造精密化などをすすめ、目標に近い成果が得られてきているが、良い意味で思わぬ成果も見えてきており、今後も調査が必要である。一部の成果については平成26年度中に学術論文への投稿を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
層状岩塩型であるLi(Ni,Co,Fe,Ti)O2およびLi(Ni,Co,Mn,Ti)O2系の電極特性に関してさらに調査を進めるとともに、平成26年度ではオリビン型結晶構造を有するLiFePO4およびFeサイトを他元素置換した同型化合物群を作製し、反応図の作成および電極特性調査を進めることで、新規リチウムイオン二次電池正極代替材料の候補材探索のための知見を収集する。
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次年度の研究費の使用計画 |
試薬類の消耗品の購入計画として計上していたが、既に購入・管理をしていた試薬類でまかなえてしまったことに理由がある。 平成26年度では新たな材料探索を進めることから、予定額に近い試薬類の消費が予想される。
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