研究実績の概要 |
平成25年度の継続として、層状岩塩型複合酸化物Li(Ni0.4Co0.2Fe0.2Ti0.2)O2およびLi(Ni0.4Co0.2Mn0.2Ti0.2)O2およびTi固溶量を減少させたLi(Ni0.5-x/2Co0.25-x/4Fe(Mn)0.25-x/4TiX)O2(X = 0, 0.05, 0.10, 0.15)について、粒子特性と電池特性を評価した。粉末X線回折測定により粒子サイズ算出および構造精密化を行ったところ、Ti量の増加に伴い、イオン半径比に基づいた格子の拡大とともに、LiサイトへのNiイオンの挿入、すなわちカチオンミキシングの増大も確認された。また結晶子サイズについてはTi置換量が増えるにつれて小さくなる(50nm~17nm)結果を示した。このような粒子特性のなか、20サイクル後のサイクル容量維持率はTi10%置換体が一番望ましい値を示した。この系統の試料については、今後、放射光X線なども用いて、現象を解明する必要がある。 また、平成26年度ではオリビン型結晶構造を有するLiFePO4のエネルギー密度を高めるため、遷移金属であるFeサイトへMn, Coを部分的または全置換したオリビン型結晶構造が得られる組成条件を広範囲で調査し、電池特性との相関も調査してきた。静電噴霧堆積法を基盤技術としたコンビナトリアルシステムにより、500~700℃(2時間焼成)でのLiFePO4 - LiMnPO4 - LiCoPO4反応図を作成し、特にオリビン型構造の単一相生成領域が広い600℃焼成の試料群に関して電極特性を調査した。その結果、LiFe1-xMnxCo0.1PO4の初期放電容量がCo無置換体LiFe1-xMnxPO4より大きくなる知見を得た。構造中にFe2+, Mn2+, Co2+が存在することで充放電に伴う酸化還元反応が促進されたと考えられる。
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