研究課題
平成28年度は、リチウム二次電池におけるクロム及びニッケルを含有したマンガンベース正極材(LiCr0.2Ni0.4Mn1.4O4)の新たな合成について研究を行ってきた。年度後半からはリチウム二次電池におけるカーボンベースコンポジット負極材についても研究を行った。これらの研究からは、マンガンベース正極材の電極反応メカニズムに関して新しい知見を得るとともに、カーボンベース負極材における今後の発展の指針となる方向性を得た。以下、各研究成果について記述する。LiCr0.2Ni0.4Mn1.4O4正極材研究では、溶液法による化合物合成の新たな方法を提案した。得られた化合物の構造を決定し、STEM観察などの結果を基に、電極反応にともなう構造変化、特に、粒内でのCr、Ni、Mnの拡散メカニズムを明らかにした。化合物の電池特性はCr添加量に大きく影響を受け、その定量的な評価についても調べた。応用面では、この化合物が大きな作用電位をもち、耐久性も実用的に耐え得るものであることを明らかにした。カーボンベース負極材の研究では、グラフェン酸化物からの還元電極及びMoS2/Cコンポジットを2種類を研究対象とした。前半の研究からは、還元電極の充放電容量が従来のグラフェン単独の電極のそれよりも大きな充放電容量を有し、これは層間が大きなことに起因することを見出した。またこの結果はナトリウムイオン電池にも応用可能であることを示した。後半の研究では、コンポジット電極の電池特性が出発物質のカーボンに依存することを明らかにした。本年度の研究成果は研究論文としてすでに発表した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
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