研究課題/領域番号 |
25420019
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
合田 公一 山口大学, 理工学研究科, 教授 (10153743)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | グリーンコンポジット / 天然繊維 / 撚糸 / ポリプロピレン / マレイン酸変性樹脂 / PVA / 押出し成形 / 強度 |
研究概要 |
本研究では,押出し成形機を用いて,被膜プロセスと含浸プロセスを複合した廉価で新しいグリーンコンポジット・ストランド引抜成形法を提案し,繊維の分散性と長繊維化を両立した優れた機械的特性を有する複合材料を得ることを目的としている. 1年目の結果として,ラミー紡績糸の表面配向角を揃える工程を用いて撚糸を作製し,PVA水溶液と含浸させたラミー紡績糸/PVAストランドの引張強度およびヤング率への影響を引張試験により調査した.その結果,作製されたラミー紡績糸/PVAストランドの引張強度およびヤング率の平均値はそれぞれ221MPa,10.3GPaであった.また,撚糸/PVA複合材料は,撚りを強く掛けることで強度およびヤング率が増加する傾向にあった。 別途,押出し成形機による被膜プロセスと含浸プロセスを複合した成形法を用い,ラミー紡績糸/PPストランドを作製した.そして,引張試験によって作製したストランドのマレイン酸変性PP(MAPPと略記)含有量の違いによる引張強度およびヤング率への影響を調査した.その結果,MAPPの添加によって引張強度およびヤング率は減少することが判明した.これは,樹脂含有率の増加に起因するものであるが,MAPPによって繊維とPPとの接着性が改善されることによって生じた現象と考えられる.なお,引張強度およびヤング率の平均値は170MPa,12.7GPaであり,残差標準偏差から算出した引張強度およびヤング率の変動係数はそれぞれ0.144,0.121であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
作製した撚糸/PVA複合材料では,撚りを強く掛けるとともに引張強度とヤング率の増加傾向がみられた.このような傾向は,比較的剛性の高い樹脂では得られない結果であり、樹脂の応力伝達能が,撚糸系複合材料においても力学的性質を左右する要因であることが判明したので.
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今後の研究の推進方策 |
ばらつきの要因として繊維配向角の変動が考えられた.つまり,紡績工程中もしくはその後の処理によって繊維配向角のばらつきを減らすことで,信頼性の高いストランドの作製が可能である.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果の国際会議発表の予定を2014年度に変更したため。 上記理由により追加実験に必要な物品購入及び論文投稿料への割り当てを計画している。
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