研究課題/領域番号 |
25420024
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
山本 隆栄 大分大学, 工学部, 助教 (20295166)
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研究分担者 |
佐久間 俊雄 大分大学, 工学部, 客員教授 (10371303)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 形状記憶合金 / 熱処理 / すべり臨界応力 / マルテンサイト変態誘起応力 / 機能劣化 |
研究概要 |
1.熱処理温度673~773K,熱処理時間3.6~360ksの熱処理を施したTi-Ni合金を用いた引張-除荷試験を逆変態終了温度(Af)-30K~Af+90Kの環境温度で実施した.負荷応力と塑性ひずみとの関係および負荷応力と変態ひずみとの関係から,それぞれすべり臨界応力およびマルテンサイト変態誘起応力を求め,それらに及ぼす熱処理条件および環境温度の影響を調べた結果,以下の結論を得た.マルテンサイト変態誘起応力は試験を実施した温度領域において、環境温度の上昇に伴い減少する.また,Af+60K以下の温度域に置いて熱処理温度の上昇に伴い減少する.すべり臨界応力は試験を実施した温度領域において,環境温度の上昇に伴い増加し,熱処理温度および熱処理時間の上昇に伴い減少する.Af+60K以下の環境温度では,マルテンサイト変態誘起応力の方がすべり臨界応力よりも小さく,Af+90K以上ではすべり臨界応力の方がマルテンサイト変態誘起応力よりも小さい. 2.熱処理温度673~773K,熱処理時間3.6~1800ksの熱処理を施したTi-Ni合金を用いた繰返し引張-除荷試験をAf+60Kの環境温度で実施し,機能劣化特性に及ぼす熱処理条件の影響を調べた結果,以下の結論を得た.熱処理温度773K,熱処理時間360~1800ksの熱処理条件では,超弾性特性が著しく低下することがわかった.また,熱処理温度723K,熱処理時間360~1800ksおよび熱処理温度773K,熱処理時間3.6~1800ksの累積残留ひずみは,繰返し初期に急激に増加することがわかった.また,応力振幅の増加にともない破損寿命は低下し,1サイクル目の応力振幅をパラメータとして用いることで破損寿命が整理可能であることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ひずみ測定の精度を向上させるための試験装置の改良に時間を要したため,Ti-Ni合金に関する機能劣化特性などのデータの取得は完了したが,Ti-Ni-Cu合金に関するデータの取得を完了出来なかった.
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今後の研究の推進方策 |
熱処理条件によって変形挙動や機能劣化特性が変化する要因を明らかにするために,EBSD測定による結晶粒径の測定を試みたが,電解研磨による表面処理が上手く出来ておらず測定することが出来なかった.今年度は新たな方法で表面処理を行い,再度,EBSD測定に取り組む.
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次年度の研究費の使用計画 |
ひずみ測定のの精度を向上させるために変位測定装置の変更を行ったが,当初の予定よりも安価なもので所定の精度を満たすことができたので,次年度使用額が生じた. 熱処理を施した試験片の結晶粒径や,繰返し負荷後の残留マルテンサイト相を調べるために,外部機関(立命館大学 びわこ・くさつキャンパス)のEBSD測定装置を用いるので,そのための旅費に使用する.
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