昨年度までに完成した,衝撃時に発生した放射音圧の圧力分布を擬似的に測定する装置を用いて,引き続き種々の衝撃力測定について調べるとともに,新たに衝撃力分布の測定と被衝撃体に存在する欠陥の同定についても実験を行った. 得られた成果は,「衝撃を受ける平板から生じる放射音の測定と有限要素法解析,日本機械学会M&M2015 材料力学カンファレンス,2015年11月,東京工業大学」,「衝撃を受ける円板からの放射音による円板内欠陥の同定,日本材料学会関東支部 学生交流会,2015年11月,東京都市大学」,において発表された. 衝撃時に被衝撃体から発生する放射音の平面的分布を,本研究で作成した装置により精密に測定することができるようになった.この装置を使い最終年度に得られた成果は以下のとおりである. 1)衝撃圧力分布の同定:従来は,数本のマイクロフォンを使い,最大2箇所に衝撃力を受けた場合の,衝撃位置および,衝撃力の時間変化の同定を行っていた.本装置を使い,衝撃圧力の空間および時間分布の同定する手法を提案し,実際の実験により確認が行われた.これにより,被衝撃体に与えられる外部からの衝撃力の位置および時間変化の同定が,放射音測定により可能であることが明らかになった. 2)欠陥位置や形状の同定:被衝撃体表面に凹みを入れ,その凹みの位置および形状を同定する方法を提案し,その手法を使い種々の欠陥の同定ができることが確かめられた.直接衝撃ではなく,既知の音を被衝撃体に入力することも可能であることから,本手法を使えば,被接触で欠陥の同定が可能であることが明らかになった.
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