厚み2mm程度のNb金属円盤(φ30)の両面を研磨して,鏡のようにし,材料厚みの均一性がミクロレベルで確保できた。そして,硬さ計の圧力を調整して,その材料上に凹みの配列をつけた。通常の硬さ計では小さい凹みをつけることができないので,ナノ硬さ計を利用して数ミクロンの凹みまで加工できた。 管電圧225keVと焦点サイズ数ミクロンのX線発生装置で金属円盤上の凹みの検出を試みた。撮像は2DのX線検出器を使い,画素の寸法が100ミクロンで,16ビットの階調分解能である。微焦点光源から擬似球面波が出てくるので,検出器を試料と光源からある程度離せば,その拡大の効果で数ミクロンのワイヤが見える。このようなシステムでX線の投影画像から数十ミクロン凹みの像まで見えた。 配列した凹みの外寸が顕微鏡で測定できるが,X線でみる深さ方向の寸法がなかなかわからない。いま探針法で深さの計測を試みているところである。その寸法がわかれば,X線画像の情報と照合して,定量的にX線による探傷が評価できる。 X線画像の中に,配列した凹みの画像が見えるが,その他,均一と思われる材料なのに,不規則な吸収コントラスト模様が見える。それは回折によるものもあり,試料の角度位置を変えると消えるものである。試料の角度位置によらず,いつも現れる吸収コントラストの模様は圧延による材料組織に関連があるように見える。微焦点光源による空間分解能とコントラストの改善は圧延による材料組織の密度変化が見えれば,材料中微小欠陥検出研究の意外な収穫となる。
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