研究課題/領域番号 |
25420044
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
林 偉民 群馬大学, 理工学研究院, 准教授 (60321840)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 機械工作・生産工学 / 精密研磨 / 精密部品加工 / 超精密計測 / 粒子線 |
研究概要 |
本提案研究は小型・可搬式中性子源の研究開発における中性子集光用、金属製中性子集光ミラー基板の超精密加工法の確立を目的としている。中性子用斜入射集光ミラーは設計された楕円面形状に対して、高い精度をもつこととともに、高い表面粗さ(Ra0.3nm以下)の確保が必要である。本研究では形状創成能力の高いNiP製ミラー基板をターゲットにし、ダイヤモンドバイトより超精密切削加工を行い、最終的にコンピュータ制御による修正研磨が可能な自転/公転型研磨法を援用し、ミラー基板の形状精度を維持しながら、表面粗さの向上を目指して、中性子ミラーの超精密加工法の確立を行う。 本年度では、当初の研究計画の通り、中性子ミラー基板の候補として使用するNiP基板を作製し、切削・研磨加工実験を行い、加工面の評価を行った。 まずは、中性子ミラー基板の超精密切削加工の研究において、超精密加工機により平面形状のNiP基板(φ50㎜)のダイヤモンド切削加工を行い、研磨に使用する表面粗さRa1.0nm程度のサンプルの製作ができた。また、ラッピング手法によるNiPミラー基板の製作も行った。 次に、中性子ミラー基板の超精密研磨の研究において、修正輪型研磨機にを使用し、切削(ラッピング)加工したミラー基板の研磨を行った。粗研磨と仕上げ研磨の2工程の研磨実験を行い、研磨仕上げ面粗さがRa0.5nm程度に全面研磨ができた。 また、中性子ミラーの性能評価法の検討において、中性子ミラーの性能を影響するファクタを検討し、ミラー基板の形状精度とともにミラーの最終仕上げ面の表面粗さの向上は大変重要であることが分かった。ミラー仕上げ面粗さの評価について白色光干渉式粗さ測定機による測定は妥当であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は当初の計画通り、中性子ミラー基板の製作を行い、切削加工から研磨加工、表面評価までのトーダル的に実験を行った。実験計画時に超精密切削加工機の整備遅れが予測しなかったが、平面状のミラー基板であるため、ラッピングによる研磨基板製作を新たに加え、結果として切削加工とラッピングによるミラー基板の製作が行い、安定的に研磨基板の提供ができた。 また、研磨実験において修正輪型研磨機によるNiP基板の全面研磨ができ、研磨面粗さはRa0.5nm程度より小さい値が得られて当初の計画以上に研究が進展していた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度も計画通り研究を行い、最大限に成果を出したいと考えている。ミラー基板の加工、研磨について順調に進み、小径研磨ツールによるスキャン研磨の安定性の確立が重要なことである。しかし、中性子ビームによるテストミラーの評価について、北大の中性子ビームラインが故障していて、東海村や京大原子炉も再開の予定が立っていない。 本研究の目的は中性子ミラー基板の製作手法を確立するものであるため、中性子ミラー基板そのものを作る目的ではないので、ミラー基板の評価は粗さ以外、たとえば、X線による反射、集光評価も手法として考えられるので、今後各機関と連携を取りながら、計画通りに研究を推進する予定である。
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