研究課題/領域番号 |
25420047
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
平田 敦 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (50242277)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ポリシング / カーボンオニオン / グラフェン / ナノ粒子 |
研究実績の概要 |
グラフェン閉殻構造ナノ粒子の機械的特性を評価するため.コニカル圧子を取り付けたプローブ顕微鏡複合型ナノインデンテーション装置により,圧縮破壊試験を行った.そして,粒子の配置状態や材質による圧縮時の挙動を評価した.粒子を配置する基板と圧子には高い剛性と硬度を持つダイヤモンドを選択した. 最初に,ナノ粒子を液相中に分散させるため,過酸化水素水を用いて分散処理を行い,動的光散乱法を用いて分散効果を確認した.また,ナノ粒子を確実に圧縮するため,ナノダイヤモンド砥粒とガラス板を用いて基板を平滑に研磨した.そして,紫外線を用いて基板の親水化処理を行い,ナノ粒子懸濁液を滴下・風乾させることでナノ粒子を基板上に配置した.その結果,数µmの凝集体が多数存在し,一次粒径約百nmでは独立粒子の存在が確認されたものの,一次粒径数十nmの粒子では一次粒子は存在せず凝集体のみが存在することが観察された.次に,ナノインデンテーション装置を用いてシリカの圧縮破壊試験を行った.その結果,独立粒子と凝集粒子で異なる圧縮挙動が得られ,それらの分類を行った.そして,凝集粒子では圧子であらかじめ押し込むことで独立粒子の圧縮挙動を得た.これらの評価から,グラフェン閉殻構造ナノ粒子は粒径が小さいほど圧縮変形率が高く,圧縮強度に優れる可能性があることがわかった. さらに,グラフェン閉殻構造ナノ粒子の純水中での分散性がポリシング作用に与える影響について調べるため,超音波加振および過酸化水素水による表面処理を行ったが,到達表面あらさに大きな違いは見られなかった.また,スラリーの濃度の上昇によりポリシング速度が向上すること,硬脆材料であるSiC単結晶にも優れたポリシング機能を発揮することを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究実施計画の「グラフェン閉殻構造ナノ粒子の超精密ポリシング作用の検証」および「プローブ顕微鏡法によるグラフェン閉殻構造ナノ粒子の機械的特性評価」を終えた.また,平成26年度の計画である「超音波加振式ポリシング装置の設計および製作」に関連して,スラリー中へのナノ粒子分散に対する超音波の作用について,装置設計および製作の指針となる成果を得た.また,「グラフェン閉殻構造ナノ粒子の超精密ポリシング作用の基礎的特性の検討」では,スラリー濃度の影響,単結晶SiCに対するポリシング作用について検討を終えた.
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今後の研究の推進方策 |
「グラフェン閉殻構造ナノ粒子の超精密ポリシング作用の基礎的特性の検討」の課題として,著音波振動を加えたポリシング実験を行い,グラフェン閉殻構造ナノ粒子のポリシング機能に与える影響を調べる.また,ポリシング面の特性を詳細に検討するため,幾何学的形状,加工変質層,結晶性,化学的構造,電気的特性などを課題とし,原子間力顕微鏡による幾何学的形状観察のほか,加工変質層や結晶性の物理的構造,化学的構造,電気的特性の変化を電子線回折法や透過型電子顕微鏡法,光てこ方式プローブ型顕微鏡によって調べる.そして総括として,閉殻構造カーボンナノ粒子の超精密ポリシングのメカニズムについて検討する.
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