研究課題/領域番号 |
25420048
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本工業大学 |
研究代表者 |
安原 鋭幸 日本工業大学, 工学部, 准教授 (70282829)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 超音波 / 接合 / 薄板 / 異種材料 / 炭素繊維強化プラスチック |
研究概要 |
超音波を援用した接合方法の開発の第一段階として,異種材料の板材の予備実験を行った.実験装置の主要な構成は,共振点自動追尾方式定電流制御超音波発振器,振動子,ステップ形ホーン,パンチ,金型,30tf万能試験機,ロードセル,熱電対,応力・変位測定用データロガーである.本研究の特色である板材に対して垂直方向に超音波振動・応力を印加するためにホーン形状と工具先端形状を数値解析によって決定して作製した. はじめに,厚さt=0.3mmの純アルミニウム(A1050-H22)を7枚積層させた板に超音波振動応力を60秒程度印加させ,接合状態の確認を行った.断面を観察すると温度は溶融しているかのようにそれぞれの板の界面が攪拌され,接合していた.接合部の詳細な温度を把握するために接合実験および超音波印加中になるべく被加工材に近い箇所の温度測定を行うことが今後の課題である.次に異種材料としてt=0.5mmの純アルミニウム(A1050-H22)とt=0.5mmの冷間圧延鋼板(SPCC)の接合を行ったが,純アルミニウムが変形して薄くなってしまうため,t=0.1mmの鋼板を純アルミニウム側に当てて超音波印加を行うことで接合することが可能となった.この結果をふまえて,今後は超音波印加時間と接合強度,材料の流動の様子などを詳細に確認する予定である. また,アルミニウム合金と炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(CFRTP)の接合実験に着手するため,高周波誘導加熱装置(応用電機株式会社:OMT-5KD-U)を購入して試運転を行った.今後,コイル内側に設置する減圧装置をの設計・作製を行い,炭素系材料の温度上昇の確認を経て,超音波印加装置と併用することによって,アルミニウム合金とCFRTPの接合を試みる予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度の前半は鉄鋼材料の薄板およびアルミニウム合金薄板に対して,超音波を印加した異種材料の接合実験を試験的に行い,大まかな接合条件を把握することができるなど,超音波印加による接合実験はほぼ予定通りに遂行できた. しかし,平成25年度後半は高周波誘導加熱装置を購入して,カーボンファイバーおよびカーボンナノチューブの加熱試験を行う予定であったが,出力条件・コイルの配置等の観点から高周波誘導加熱装置の選定を再考したため,それに付加して設置する予定であった減圧装置の設計・製作がが遅れてしまい,当初予定していた加熱条件の把握などの予備実験を年度内に行うことができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
超音波印加による異種材料の接合について,一般的に構造材料に使用されているアルミニウム合金(5000系など)と,チタン合金やマグネシウム合金などとの接合の可能性について詳細な実験を行う.さらに接合強度について,板材の接合時に適合した試験方法を考え,強度試験を行う予定である. 平成26年度の早い段階で,高周波誘導加熱装置を用いてカーボンファイバーおよびカーボンナノチューブの温度特性を調べ,接合時の加熱条件を明らかにする予定である.さらに,平成26年度後半では高周波誘導加熱と超音波印加装置と併せてアルミニウム合金と炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(CFRTP)の接合の可能性について調べる予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
出力条件,コイルの配置等の観点から高周波誘導加熱装置の再考を行ったため,選定が遅れてしまった.そのため,付加するする予定であった減圧装置等の設計・作製が遅れてしまったため. 平成26年度の初旬から高周波誘導加熱装置のコイル内に設置する石英管・冷却ステージなど減圧装置関連の設計・製作を行っていく予定である.それを用いて,平成26年度は当初から計画していた金属材料およびカーボンファイバーやカーボンナノチューブなどの炭素系材料の昇温条件を調べる予定である.
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