研究課題/領域番号 |
25420048
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研究機関 | 日本工業大学 |
研究代表者 |
安原 鋭幸 日本工業大学, 工学部, 准教授 (70282829)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 超音波 / 接合 / 薄板 / 異種材料 / 炭素繊維強化プラスチック |
研究実績の概要 |
本年度はアルミニウムと炭素繊維強化熱可塑性プラスチック複合材料の接合を試みるため,高周波誘導加熱装置の減圧装置の設計および製作を行った.同時に,接合助剤として用いるカーボンナノチューブの合成装置の作製および合成実験を行った.カーボンナノチューブ合成装置についてはできるだけ長尺のカーボンナノチューブが助剤として有効であると考え,今回は垂直配向成長が可能な熱CVD法による合成法を選択した.環状電気炉に炭素源となるトルエンと触媒として働くフェロセン(Fe(C5H5)2 )を一定の速度で供給することにより,環状炉内に設置したシリコン基板上にカーボンナノチューブが成長する方法である.装置を制作した後,合成条件の選定を行った.文献より,フェロセンの濃度を,2~10wt%の間で変化させたトルエン溶液をシリンジポンプで環状炉に注入した.環状電気炉の温度設定は700~850℃と変化させ,また同時に合成時間も変化させて合成実験を行った. フェロセン濃度5wt%,環状電気炉の設定温度が780℃,アルゴン雰囲気の条件で,4時間の合成を行うと板厚方向に1.5mmほどの垂直配向成長したカーボンナノチューブを合成することができた.環状電気炉の設定温度が800℃では,一様な長さを有するカーボンナノチューブが合成できなかったため,最適条件は上述の通りと結論づけた. 予備実験として,アクリル樹脂を基材とした炭素繊維強化プラスチック板と板ヤスリで表面に凹凸を付けたアルミニウム板との接合を試みたが,アクリルの強度以上の値は得られなかったため,炭素繊維とアルミニウムが直接に接触する方式の検討を始めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度購入した高周波誘導加熱装置の導入の遅れが影響してしまい,最終目標である,炭素繊維強化熱可塑性プラスチック板とアルミニウム板の接合の実験への着手が若干遅れてしまった.それに加えて,両材料の接合において予備実験を行ったところ,予想どおりの強度が得られなかったため,試行錯誤により時間を費やしてしまったことが原因である.その対応策については,平成27年度の早い時期に検討を始めることが可能であるため,最終的には計画通り進行すると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
炭素繊維強化熱可塑性プラスチック板とアルミニウム板を高強度に接合することを最終目標にしているが,現在のところ予備実験において,難しいことが予想されている.それを達成するために,当初のアイデアにプラスして,アルミニウムと炭素繊維以外の針状の第三物質を助剤として用いることにより,超音波加震と高周波誘導加熱を同時に印加して,両方の板材料を物理的に接合させることで達成できると考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費については予定通り使用して実験を行うことができているが,平成26年度後半に得られる予定であった成果を得られなかったため,成果発表用の旅費を使用するに至らなかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度後半に試行錯誤を行うに至った実験方法について,平成27年度の早期に改善案を実行して,平成27年度後半に行われる学会において成果発表をできるように努力する.
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