研究課題/領域番号 |
25420050
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
臼杵 深 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (60508191)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 光学顕微鏡 / 画像処理 / 三次元計測 / 超解像 / 変調照明 / ライトフィールド / 形状モデリング / 低コヒーレンス干渉 |
研究概要 |
本研究は,高速イメージスタッキングと三次元変調照明による超解像を高度に融合することによって,超精密部品の立体形状を高速かつ高い空間分解能で三次元計測するための基盤技術を確立することを目的としている.平成25年度の研究実績を以下に示す. 第一に,高速イメージスタッキングに関して研究開発を行った.Shape from Silhouette法とライトフィールド顕微鏡を用いて従来の光学顕微鏡では困難であった試料の三次元モデル再構築を行った.取得画像から試料を再構築する手法としてShape from Silhouette法があるが,試料の表面上にある傷や欠陥等の表面情報を再構築することが困難である.そこで,光学顕微鏡にマイクロレンズアレイを用いたライトフィールド顕微鏡を用いて試料画像の取得と同時に距離情報を取得し,Shape from Silhouette 法で作成された三次元モデルに適応することで試料の表面情報をモデルに付加した.これにより,表面上の傷などを含む三次元モデルの再構築を行うことができた. 第二に,変調照明を利用した超解像計測に関して研究開発した.変調照明顕微法において,一般的にはレーザ干渉を利用して照明パターンを生成するため,蛍光顕微鏡観察における影響は少ないが,工業顕微鏡観察においてはスペックルノイズの影響が大きく,本顕微法の利点を最大限引き出すことは困難である.そこで,SLD(Super Luminescent Diode)等の低コヒーレンス光を二光束干渉させることによって生じる干渉縞を変調照明として利用ことを提案した.レーザ光と比較して大幅にコヒーレンスが低くなるため,低スペックル観察が期待できる.基礎実験により有効性を検討した.コヒーレント長が数十umと短いため,高度な光路長調整などの困難を伴ったが,低ノイズで高分解能観察を実現した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題における初年度の実績として,まず,ライトフィールド顕微鏡を構築し,得られた距離画像を利用して三次元形状モデルを再構成するシステムの開発を行った.続いて,低コヒーレンス光の二光束干渉に基づいた変調照明生成装置の構築と超解像画像処理システムの開発を行った.これらは,本研究課題の最終目的である,超精密部品の立体形状を高速かつ高い空間分解能で三次元計測するための基盤技術の確立へと直結する要素技術であり,本研究はおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,高速イメージスタッキング技術と高分解能三次元顕微鏡との融合による新しい超精密工業製品(部品)評価システムの開発を最終目標として以下のように研究を推進する. 高速イメージスタッキング技術の確立に関しては,高倍率観察用のライトフィールド顕微鏡の構築と独自に開発したサブピクセル画素ずらし法による高解像度化を推進する. 高分解能三次元顕微鏡の開発に関しては,現在の低スペックル高分解能観察システムに低コヒーレンス干渉顕微法やOCT(光干渉断層計)による表面形状計測を導入し,低コヒーレンス光源の特性を最大限に活用する.
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