研究課題
平成26年度においては,本研究で開発する基盤技術の実用化に向けて,以下の研究実績を得た.①光源がコヒーレントであることによるスペックルノイズの影響については,前年度から継続して低コヒーレンス干渉に基づいた超解像顕微法についての研究を進めることで対応した.具体的には,レーザと比較してコヒーレント長の短いSLDやLEDを光源として低コヒーレンス干渉させ変調照明を生成することでスペックルノイズを抑制する.これにより,ビームホモジナイザーや複数情報取得に基づいた均一化では対応できない観察試料パターンに依存するスペックルノイズが抑制可能となる.実際に超解像顕微鏡を構築し,実験による検討を行った結果,中心波長669nm,スペクトル幅7nmのSLDを光源としNA0.55対物レンズでの光学顕微鏡観察(回折限界742nmに相当)において,空間分解能<400nmを達成した.これは従来の回折限界のおよそ2倍の空間分解能であり,変調照明顕微法の理論的な空間分解能に相当する.②三次元計測のためのイメージスタッキング手法については,顕微鏡観察におけるFocus Variationについて研究開発を行った.特に,顕微鏡画像に混入するノイズにより高さ計測精度が低下する問題について,合焦判定時に三次元的な局所分散の考え方を新たに導入することを提案した.実験による検討の結果,従来の二次元局所分散と比べてノイズ抑制効果が高く,メディアンフィルタのように空間分解能を低下させることのない,高度な合焦判定手法を実現した.
2: おおむね順調に進展している
変調照明顕微鏡による観察や計測においては,照明時のスペックルノイズや画像取得時のノイズは避けられない問題であり,生産工学・加工学において工業用観察手段として実用化を考えた場合,致命的な問題となりうる.その観点において,平成26年度の実績としての各種ノイズ抑制方法の開発は,実用化のための要素技術である.
今後は,低コヒーレンス干渉に基づいた超解像顕微法を軸として,OCT(光干渉断層計測)と併せて低スペックルノイズ三次元計測を実現する.画像取得(イメージスタッキング)については,ライトフィールドの取得とFocus Variationの両面から検討し,最適な三次元計測システムの構築を行う.
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Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing
巻: 8 ページ: 1-8