チェーンボール状中空金属球(MHS)を作製し,それを固化成形した新ポーラス金属材料,チェーンボール状MHSの安価かつ高速,比較的高精度な生産法であるロータリープレス法の開発として,3個のサブテーマを実施した.MHS製造法について,H26年度の第2工程(下半球絞り)の装置試作および第3工程(上半球部となる端部起こし)のFEM解析に続き,H27年度は第3工程を基礎実験にて検証した.付け根の座屈が激しく,多段ミルにするなど改良を図り,成形体作製に資する形状が作製できた.第1工程(ブランキング)については,「主せん断ひずみエネルギーによる成形限界予測法」を提案し,H27年度に,学術論文掲載,およびその改良として,日本塑性加工学会講演会に2度,静水圧応力の影響と本対象の鋼板について成果発表した.市販ソフトのユーザーサブルーチンをプログラミングし,ブランキング法の検討を開始した.成形体の機械的特性評価については,ワイヤーカットのブランキング材を使用して成形体を試作,材料試験を実施した.球間のブリッジ部が加工時に多少の引張りを受け,破断伸びは低下したが,引張り・曲げ強さは3倍に向上した.また,変更容易であるチェーン配列も変えた.既存ポーラス材料の特性は密度で整理できるとされているが,本材料では内部配列の違いも変更できた. 以上,成形体の開発・特性評価,第1工程以外のプロセス開発が終了した.
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