研究課題/領域番号 |
25420057
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
清水 浩貴 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50323043)
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研究分担者 |
田丸 雄摩 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30284590)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 走査形状測定 / 運動誤差計測 / 多点法 / MEMS / 平面度測定 / 真直度測定 |
研究概要 |
本研究は,高精度平面の真直形状計測ならびに平面形状計測に用いるためのカンチレバー式多点変位同時測定デバイスをMEMS製作技術により実現することを目的としている. 平成25年度はこれまで別々に行ってきた3つの加工プロセス,すなわち計測デバイスの探針製作・変位検出回路製作・外形製作を統合するプロセスの確立をめざして研究を行った.当初はアルミ配線を溶解しない特殊配合の薬液を用いての加工を試みたが,長時間のエッチングを要する当デバイスの製作には適合せず,回路が溶解してしまう結果となった.この問題に対処するため当初の予定を変更し,製作済みの配線上にスパッタリングによるシリコン酸化膜と水ガラスからなる多層コーティングを施し,溶解から守る方法を新たに導入し,デバイス製作の目途を立てることができた. さらに,長時間エッチング時のエッチング面の荒れを改善する方法として,通常のエッチング液(主エッチング剤(TMAH),イソプロピルアルコール(IPA),水の混合液)とは別に,IPAを配合しない別組成の薬液を用意し,それらを交互に用いることで表面荒れの少ない加工を行えることを新たに見出した.それに加え,表面荒れが薬液中の気泡の流れからも生じていることを確認し,それに対処するための保持冶具を製作した. 5点法用のデバイスについては3次元CAD上での有限要素法解析により各部寸法を決定し,それに基づくマスクの製作,外形形状打ち抜きの条件出しまでを実施した. デバイス評価用装置については,製作中のデバイスを模擬した変位センサの試験評価が可能な装置を製作し,それに合わせて組んだ真直形状測定用プログラムと合わせることで真直形状測定が可能であることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
探針製作・検出回路製作,外形製作を統合してデバイス全体を完成させるプロセスについては,研究実績にも記したように,回路を保護しながら探針を製作する過程において当初予定した特殊配合の薬液で対応する方法が適用できなかったものの,新たに導入したスパッタリングによるシリコン酸化膜と水ガラスの多層コーティングにより問題点を克服できたので当初予定からの遅れもほとんどない状態で計画を遂行できている. 5点法用平面デバイスの製作については当初計画通りに研究が進展している. デバイス評価用試験装置の製作については,当初計画通りの装置の製作と測定実験まで行った.さらに,3点法真直度測定法の利点である,“運動誤差の除去が可能である”点を試験評価装置の汎用性向上のために利用可能であることに思い至り,試験装置に一部導入済みである.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度はほぼ予定通りの成果を得ることができたが,一方でデバイスの製作プロセス,特に探針製作のための長時間のエッチング時に加工条件を安定に保つことが難しく,製作の歩留まりの点ではまだ改良の余地がある.また,変位検出を行うピエゾ抵抗体の安定的な製作にも課題が残った.この点については平成26年度の当初の研究課題の実施と合わせて実験条件の見直しや装置の改良を含め検討を進める. また,3点法による真直形状測定および,5点法による平面形状測定においては,多数のセンサ出力結果を繋ぎ合わせることから,個々のデータのばらつきが最終結果にどのような影響を与えるかの検討が重要となる.26年度に予定していた平面度測定結果のデータ処理プログラム作成に先立ち,このばらつきの影響をモンテカルロシミュレーションにより検討することを優先する. その他の部分には特に問題は無く,研究計画調書に記載の当初計画事項を遂行する.
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