スパイラル超音波援用研削法を提案し,実験装置を試作した上,加工特性の体系的調査を通じてサファイアの高能率かつ高品位研削技術の確立を目的に,3ヵ年研究期間内に,(1)真空チャック付き超音波ユニットを設計・製作;(2)スパイラル超音波援用単石ダイヤモンド切削における材料除去機構の解明;(3)研削加工特性(研削抵抗,加工面の粗さと性状,研削熱,砥石の摩耗)の体系的実験調査;について研究を進めることにしている. 1年目(H25)は,真空チャック無しの簡易超音波ユニットを製作してスクラッチング試験と研削実験を行った結果,超音波の援用による臨界切込み深さが約30%増大し研削抵抗が30%以上減少するといった良好な加工特性が確認された.2年目(H26)は,ボンド材の異なるダイヤモンド砥石を用いた際の砥石作業面や摩耗及び研削抵抗を検討し,加工面性状のフラクタル解析を行った.その結果,超音波の援用によってレジンボンドでは砥粒切れ刃の微細化と分布密度の向上,ビトリファイトでは良好な砥石作業面の維持と耐摩耗性の向上が確認された.またレジンボンドでは研削抵抗は超音波無し時と比べ50%程度小さく,抵抗比は超音波援用によって約33%小さくなることもわかった.最後に加工面のフラクタル解析で,面粗さ,表面欠陥の種類,材料除去モードなどをフラクタル指数で評価できることを示した. 今年度(H27)は,ビトリファイドダイヤモンド砥石による研削加工特性(研削抵抗,砥石磨耗,加工面)を体系的に調べ,実用化に向けての真空チャック付き超音波ユニットの試作を行った.その結果,超音波の付与によって砥石半径磨耗量が20%以上減少し,加工面にクラックが殆ど発生しないことがわかり,ユニットの製作も完了しその動作が確認できた.最後にフラクタル解析で加工面の形成機構を明らかにした.これら研究成果は,学術論文3編国内発表3回で公表している.
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