昨年度までに開発した小径エンドミルによるマイクロディンプルの高速加工法により、表面に微細なマイクロディンプルを加工し、その微細構造による表面機能の違いを調べた。 表面のぬれ性に関しては、ディンプル表面と平坦な表面に対して動的なぬれ性の違いを明らかにした。平坦な表面に対して水滴量を増加させても、接触角に大きな変化はなく親水性であるのに対し、ディンプルを有する表面では、ディンプルの縁部によってぬれの拡がりが拘束されるピン止め効果により接触角が離散的に変化し、水滴量によっては撥水性となるときもあることがわかった。 次に、作成したディンプル表面を金型として用い、樹脂に対してマイクロアスペリティの微細構造を作成し、その表面における摩擦特性の変化を調べた。今年度は、動力計を有する簡易型の摺動式摩擦試験機を作成し、ピッチの異なるアスペリティを有する表面の摩擦係数を測定した。その結果、ピッチが小さいと摩擦係数が上昇するが、大きすぎても摩擦係数の上昇が観察でき、摩擦係数が最小となるピッチの存在を確認した。 以上の結果より、マイクロディンプル表面やこれを金型にして作成したマイクロアスペリティを有する表面では表面機能が変化し、また、それらの大きさや配列によって機能が制御できる可能性を確認した。 本研究によって、マイクロディンプルやマイクロアスペリティの微細構造を大表面に高速に加工することが可能となり、産業製品に対しても表面機能が実用的に制御できる可能性を示した。
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