研究課題/領域番号 |
25420070
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
畝田 道雄 金沢工業大学, 工学部, 教授 (00298324)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | サファイア / CMP / スラリー流れ場 / 研磨レート / 研磨条件 / 電界印加 |
研究実績の概要 |
平成26年度における本申請研究は,「基礎研究フェーズ」の継続課題として,各種研磨条件がスラリー流れ場に及ぼす影響の解明を試みるとともに,スラリー流れ場と研磨特性の相関に加えて,消耗副資材としての修正リングの有無やスラリー特性の影響について,理論と実験の両面から検討した.また,「応用研究・システム開発フェーズ」を見据え,電界付与によるスラリー挙動制御技術に関する検討を行った.具体的な実施項目は次のとおりである. (1)研磨レートに影響を与える研磨条件として従来までの機械的条件に留まらず,消耗副資材である修正リングやスラリーに着目するとともに,アレニウスプロットの観点から化学的作用について考察した.その結果,基板の反りの大小によって修正リングの効果(影響)は非常に異なること,厚い液膜が出来るスラリーでは研磨レートが出ないことを示し得た. (2)上記に関連して研磨レートの向上を図るためのパラメータ分析を行い,スラリー流速分布や既述の修正リングは非常に大きな効果を有することを示した.特に高い研磨レートを可能にするためのスラリー流れ場をモデル化した. (3)実用的な高負荷を与える機械的条件下においてもパラメータ分析結果が有効であることを示した. (4)電界によるスラリーの運動特性を確認するための基礎実験モデルを設計し,それによる挙動観察と解析を行った.その結果,スラリーに電界付与によって微小振動を与えることに成功したが,それを研磨に応用させ得るには至っておらず,平成27年度に適用する予定である.一方で,研磨レート向上を可能にするにはスラリーの運動特性を低下させることが必要であること(厚い液膜を形成させずに高摩擦を実現すること)を上記(1)~(3)の検討で明らかにしたことから,それを踏まえた新たな検討を進める必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要で示したとおり,研磨レート向上を実現させるために当初に想定していた研磨接触界面(研磨パッドと基板の界面)におけるスラリーの在り方(最適状態)に関する考察が研究進展に伴って修正されつつある.本申請研究の最大目的である研磨レート向上の達成のために向けた検討(主要因解明)は順調に進んでおり,最終年度となる平成27年度に機械的条件・消耗部材の在り方の部分最適を図るとともに,それらの全体最適を図る必要があり,それに向けて現在鋭意検討を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
申請調書にも記載したとおり,多様な専門を有するアドバイザーらと適宜コンタクトを取りつつ,独創性ある本研究を進展させる.具体的には,「応用研究・システム開発フェーズ」に移行し,スラリーの粘度や濡れ性と研磨パッドの組合せも含めた最適化検討にまで発展させることを通じて,高研磨レートをもたらすシステム開発を実施する.また,最終報告書を作成するとともに,申請者の研究室ホームページを通じて引き続き情報発信に努めるとともに,学術論文誌や国際会議等でも成果を積極的に公開する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ当初計画通りで補助金を使用したが,若干の金額が残ったため,平成27年度に使用することにしたい.
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次年度使用額の使用計画 |
当初計画通り,物品費,旅費,人件費・謝金として使用する計画である.
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