研究課題/領域番号 |
25420073
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
松室 昭仁 愛知工業大学, 工学部, 教授 (80173889)
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研究分担者 |
高木 誠 愛知工業大学, 工学部, 教授 (40288428)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | シングルナノスケール加工 / 単層カーボンナノチューブ / 引き上げ法 / 走査型トンネル顕微鏡 / 高アスペクト比穴加工 |
研究実績の概要 |
【研究背景】近年,微細加工技術の進歩によって工業や医療分野においてナノマシンや単一電子デバイスの実現が期待される.このためにはナノスケールでの三次元での超微細加工技術の進歩が必要不可欠である.微細加工技術の手法の一つに走査型トンネル顕微鏡(scanning tunneling microscope:STM)にカーボンナノチュー(carbonnanotube:CNT)を探針として用いた加工法がある.本研究室では直径50 nmの多層ナノチューブ(MWNT)を探針とした数百~十nmスケールの加工が実現されてきたが極限的に微小な直径を持つ単層ナノチューブ(SWNT)の探針作製法は確立されていなく,MWNT探針では直径以下のシングルナノスケールの加工を行うことは困難である.本研究ではSWNT探針の作製法を確立させるとともにSWNTがSTM加工において有効性の検証を行う. 【研究目的】従来のMWNT探針作製法である引上げ法に本研究で考案した混合分散液プロセスを用いることでSWNT探針の作製を試みる.またSWNT探針での高アスペクト比かつシングルナノスケール加工の実現を試み,STM加工におけるSWNT探針の有効性の検証を行う. 【研究方法】MWNTとSWNTをイソプロピルアルコールに混合させた混合分散液を作製し,電気泳動法を利用してこの分散液内のCNTを電解研磨にて先鋭化したW探針で引き上げることで先端にCNTを付着させる.この際先端曲率の関係からW探針の先端にはMWNTが付着しやすく,SWNTを探針先端に付着したMWNTで引き上げることでSWNTを先端とした探針を作製に挑戦する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
混合分散液の濃度条件をSWNT : 0.005~0.05 mg/ml,MWNT : 0.04~0.05 mg/mlの範囲で検討し,従来作製が困難であったSWNT探針の作製率をおよそ10%に大きく向上させることに成功した.またWとMWNT,MWNTとSWNTの付着部をそれぞれSEMを用いて電子照射による探針の強化を行うことでSTM加工が可能となった.HOPGを試料として選択し,SWNT探針を用いた加工によってSWNTの直径を反映させた加工直径9 nmでアスペクト比1.44のシングルナノスケール加工が実現された.これは同条件にて行ったMWNT探針による加工のアスペクト比0.26の5.5倍である.さらに加工条件を検証することで加工直径の微細さを保持したまま高アスペクト比の加工を得ることが可能であった.本研究にて得られた最大のアスペクト比は加工時間120秒にて得られた16であり,加工時間60秒で得られたアスペクト比1.4と比較しおよそ11倍の向上であった.以上によりSWNT探針の作製法の確立とSWNT探針にてシングルナノスケール加工を実現した.以上により上記達成度と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の目的はほぼ達成できた.従って、今後の研究の推進として線加工、凸加工等の種々の加工が考えられるが、これらはこれまで多層カーボンナノチューブを用いた研究によりメカニズム含め成果が得られ手法が確立しており、大きな問題はないと考えられる.
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究で最も重要な単層カーボンナノチューブ、基板材料等を購入するため.
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次年度使用額の使用計画 |
業者選定後、早期に購入予定.
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