研究実績の概要 |
情報電子デバイス,マイクロカプセル等の医療用マイクロデバイスにおいて,素子のガラス化,微小化,微細化,高精度化が強く要求されており,ガラス成形の高温耐熱性のあるセラミックス型の超精密・微細加工が不可欠である.しかし,従来のマイクロ・ダイヤモンドホイール(砥石)によるセラミックの超精密研削加工では,工具摩耗等のため加工精度と能率に限界が生じている.そこで,本提案書では,断続切削の「マイクロフライス工具」に着目し,レーザ加工を応用して単結晶ダイヤモンド製のマイクロフライス工具の創成技術を開発し,硬質脆性材料であるセラミックスに対して,微細で構造的な超精密形状の創成を目指し,そのメカニズムを明らかにすることを目的としている. 最終年度である今年度は,レーザ加工による単結晶ダイヤモンドの微細加工の加工特性,工具摩耗の評価結果など,これまで実施した基礎的な検討結果を基にして,超硬合金製マイクロ非球面の超精密切削実験を実施した.そして,切削加工実験装置として同時4軸(X,Y,Z,C)超精密加工装置(位置決め分解能1nm)を,評価装置として非接触表面粗さ計と形状測定器などを用いて,単結晶ダイヤモンド製マイクロフライス工具による非球面加工性の総合的な評価を行った. 通常の超硬の仕上げ研削条件と同様の総切込量5μmで,研削条件に相当する切削条件で非球面金型を切削したが,0.05‐0.1μmP-Vの形状精度が得られ,通算20個の超硬金型の仕上げ加工に相当する加工が実現できた.その間の形状精度の変化は補正加工無しでもわずかかであった.また表面粗さは,工具の摩耗と共に良好となっている.従来のレジンボンドダイヤモンドホイールによる研削加工に比べて工具摩耗は1/100以下であり,形状精度は安定し,頻繁のツルーイング・ドレッシングや補正プロセスが低減でき,高精度・効能率化可能であることが明らかとなった.
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