マイクロテクスチャとは,代表寸法がマイクロメートルオーダ以下の単位規則形状が無秩序に,または秩序よく規則的に整列配置されている面である.機械構造体や機械要素部品の表面に付与すると,構造発色のような従来にない機能や摩擦減少等の省エネルギー化への寄与など,地球環境問題対策をはじめ,さまざまな分野への直接的・間接的な波及効果が期待できる.しかし,その創成技術の確立は十分とはいえない.そこで本研究では,マイクロテクスチャ創成技術のひとつとして,極低速の薄膜エピタキシャル結晶成長における分子の自律的な整列現象の応用を提案する.実際の試作実験および解析により,単位規則形状が秩序よく規則的に整列配置され,マイクロメートルオーダ以下の形状精度をもったマイクロテクスチャの自律的創成技術の確立に資する知見を得ることを目的とする. 今年度は,ほぼ計画どおりに,前年度の成果をもとに,基板を面方位(100)の単結晶Si基板とし,付与形状幾何形状としては,円,三角形,四角形,直線形,同心円形の各凹(穴・溝)および凸(柱)形状とした場合について,極低速の薄膜エピタキシャル結晶成長を実施し,成長条件(基板温度,成長速度,成膜量)と創成幾何形状ならびにテクスチャの関係を形状精度,再現性を含めて実験的に明確化した.成膜量は0,15,30ナノメートルの各場合とした場合の創成過程を時系列的に観察し,創成メカニズムの解析を行った.
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