角度検出に基づく形状評価は、形状基準の精度に制限されることなく、高精度な形状評価が可能であることから、古来、定盤や光学表面などに対する高精度形状評価に用いられる一方で、形状基準を定義することの難しい大型対象物の形状評価にも有効と考えられる。本研究では、角度検出器にジャイロを用いることで、重力方向の影響を受ける水準器(レベル)や測定光の到達距離により評価長が制限されるオートコリメータなどに代わる、より適用範囲の広い高精度形状評価を、100mを超える大型の対象物に対して実現することを目指す。 研究最終年度となる2015年度は、これまでに引き続きジャイロ最大の誤差要因と考えられるレート(角速度)オフセットを、回転機構を用いた連続反転測定により取り除き、その影響を受けることなく、ジャイロを用いた角度検出とそれに基づく高精度形状評価を実現するための検討を行った。 まず、その角度検出軸と直交する軸周りに回転するジャイロから得られる角度信号の二階差分値をもとに、レートオフセットの影響を受けることなく、ジャイロ回転運動で変調された地球自転角速度を検出し、その信号振幅と位相をもとに、回転するジャイロから得られる角度信号の妥当性を検証した。 さらに、上記検討の結果、互いに逆方向に回転するジャイロから得られる角度信号の二階差分値をもとに、ジャイロ回転軸の地球自転軸に対する2つの方位角が求められることが示され、検証実験により実際に方位角が得られることが実証された。
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