研究課題/領域番号 |
25420078
|
研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
須長 秀行 独立行政法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, 研究員 (70442978)
|
研究分担者 |
高村 正人 独立行政法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, 研究員 (00525595)
大竹 淑恵 独立行政法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, チームリーダー (50216777)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | せん断加工 / 弾塑性FEM / 中性子計測 / 延性破壊 |
研究実績の概要 |
新たな延性破壊条件式を弾塑性FEMに導入し、実際に金属材料試験片を使用した単軸引張試験に加えて平面歪状態を仮定した引張試験方法を考案して試験を行なうことにより同定された材料固有の閾値(限界ダメージ値)をもとにせん断加工解析精度検証を行なった。 また、材料がせん断変形を伴なった亀裂進展により材料が分離されるまでの変形過程に対する弾塑性FEM解析精度向上のために、任意要素の変形履歴に沿った応力-歪関係の積分値が単軸引張試験より得られる限界ダメージ値を超えた時点を延性破壊として亀裂発生を表現するアルゴリズムの最適化を図った。これにより、実際のプレス金型における複雑な工具条件(形状、負荷条件等)に対して亀裂発生・進展に与える影響が把握できる解析精度、計算安定性及び計算効率の向上を確認できた。 また、金属材料が変形する際の材料内部構造変化を観察するために、小型加速器を使用した中性子源システム(RANS)による結晶構造の非破壊計測を行なった。RANSでは7MeVまで加速した陽子をBeターゲットに当てて、生成した中性子をポリエチレン減速材に通すことでmeVからMeVまでの広いエネルギースペクトルの中性子が得られる。このことから、金属結晶の格子定数をカバーする波長のエネルギー領域を用いて、材料試験機にて鋼材に引っ張り変形を加える前後に対して回折実験を行ない、金属材料変形による集合組織の変化を捉えることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究実施内容として計画していた弾塑性FEM解析によるせん断加工の解析精度向上に関して、実際のプレス金型における複雑な加工条件下での成形解析に対しても計算が途中で止まることなく成形条件最適化のために有用な解が得られることを確認した。また、中性子源を利用して金属材料歪情報の取得に向けた予備実験として、金属材料変形による集合組織の変化を捉えることができたことから、おおむね順調に進展していると判断している。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度の研究成果を基盤として、実際の金属材料破断に至るまでの変形過程に関する計測方法の高度化によるせん断加工の弾塑性FEM解析精度向上を図るために、材料試験片に対して引張変形を与えると同時に中性子を照射して延性破壊する部位の歪変化等微視的観察をもとに延性破壊発生(限界ダメージ値)を同定する。さらに、材料せん断変形に対して材料試験等による成形実験計測対解析結果との精度比較検証をもとに高精度せん断加工解析システムを構築する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
せん断加工解析のために必要とされるプログラムモジュール開発に関するコーディング及び解析作業等を行なう補助研究員確保のための人件費及び物品購入予定額と実績額に若干の差異が発生した。
|
次年度使用額の使用計画 |
今年度は、人件費・物品費及び旅費に関する昨年度実績をもとに使用計画を検討し、随時予定額対実績額の推移把握を行なう。
|