研究課題/領域番号 |
25420080
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山口 健 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50332515)
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研究分担者 |
堀切川 一男 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60173605)
柴田 圭 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60612398)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 転倒 / トライボロジー / バイオメカニクス / 靴 / すべり |
研究概要 |
本研究の目的は,すべりが生じても姿勢回復を容易とし,転倒抑制に効果的なフットウェアを開発することである.平成25年度では,支持基底(BOS)を側方外側に15mm 拡大したフットウェアを作製し,若年成人を被験者として潤滑剤を塗布した歩行路での歩行中の方向転換実験を行い,BOS 幅拡大による側方へのすべり転倒の抑制効果を検証した.32名の健常若年者を被験者として募集した.各被験者には,乾燥路面での「直線歩行」および,グリセリンを塗布した歩行路で直進後,右足を軸足とした右側60°の方向への「方向転換」動作を行うよう指示した.直線歩行実験における歩行速度,歩幅,歩隔の平均値に,靴による有意差は見られなかった.一方,方向転換実験では,BOS幅を外側に15㎜拡大することにより,通常フットウェアに比べ,68%も転倒発生率が低減されることが分かった.BOS拡大による側方へのすべり転倒発生率の低減メカニズムについて,目標COP(dCOP:desired COP)という新しい指標を用いた運動解析により,解明を試みた.目標COPとは,歩行中の重心(COM:center of mass)に作用するモーメントのつり合いから,COMに作用するモーメントがゼロとなる理想的なCOP位置を示すものであり,実際のCOP(measured COP)とdCOPの距離が大きいほど,転倒回避のための補償ステップ距離が大きくなる.解析の結果,BOS拡大フットウェアでは,dCOP-mCOP距離が通常フットウェアに比べ短く,補償ステップ距離が短くて済むことが分かった.そのため転倒回避が容易であったと考えられる.以上のことから,本研究で開発したBOS拡大フットウェアは,歩容に影響を与えず,側方へのすべり転倒抑制効果を有することが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度では,支持基底(BOS)幅拡大フットウェアを作製し,同フットウェアが歩容に影響を与えずにすべりやすい路面での側方転倒危険性を大幅に低減できることが分かった.以上のことから,本研究は当初の目的に対して,順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度では,BOSの拡大幅を変化させたフットウェアを作製し,平成25年度と同様の実験により,歩容に影響を与えず,すべり転倒抑制効果が得られる好適なBOS幅拡大量を実験的に明らかにする予定である.
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