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2013 年度 実施状況報告書

基本形状配置による機械部品の製造性・安全性などの高速な評価

研究課題

研究課題/領域番号 25420081
研究種目

基盤研究(C)

研究機関茨城大学

研究代表者

乾 正知  茨城大学, 工学部, 教授 (90203215)

研究分担者 梅津 信幸  茨城大学, 工学部, 助教 (30312771)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード加工性評価 / コンカレントエンジニアリング / CAD / 並列図形処理 / GPGPU
研究概要

平成25年度は,基本形状の配置により製造性や安全性を評価できる事例の収集と,各事例について,基本図形を配置する並列処理アルゴリズムの開発とGPUを用いて処理を行うプログラムの実装を中心に研究を行った.
過去数年間の研究の過程で,切削加工性,プラスチック部品の成形性,自動車内装部品の安全性など,種類も用途も異なる様々な機械製品の性質が,部品の立体モデル内外への球や円筒,円錐などの基本形状の配置という統一的な手法で解析できることが分かってきた.そこで平成25年度前半には,企業の研究アドバイザの力を借りて,さらに徹底した聞き取り調査を実施し,同様の手法で解析可能な性質の収集を行った.具体的には,工程設計における工具選択,機械部品の組み立て性評価,切削シミュレーション中の切削負荷の解析が,同一形状を多数配置する手法やその拡張で処理可能なことが判明した.
平成25年度後半には,配置アルゴリズムの開発とプログラムの実装を行った.既に定式化の終了している切削加工性評価(円錐の配置),成形性評価(球の配置),安全性評価(球の配置)から,アルゴリズム開発とプログラミングを開始した.本研究の提案する手法は,球や円錐などの単純な形状を多数配置するというものであり,本質的に並列処理と相性がよい.特に近年発展と普及が目覚ましいGPUを利用して並列処理を行うと,通常のCPUを用いる場合よりも処理を格段に高速化できる.実際に幾つかの事例について実装を行い性能評価したところ,処理速度を10倍向上させることに成功した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初は年度後半にアルゴリズム設計を行いプログラミングを開始することだけを目標としていたが,プログラミング作業が予想以上に順調に進み,幾つかの製造性,安全性評価の課題について,実行性能の評価まで行うことができた.作成されたプログラムを企業所属のアドバイザの方々に見ていただいたところ,非常に実用性が高いと好意的な評価を得ることができた.
さらに研究途上で,同じ手法が複雑な図形処理の高速化にも応用できることがわかり,具体的にはデクセルと呼ばれる形状を利用することで,立体の集合演算やオフセット処理のGPUにより並列処理するアルゴリズムを実現した.これらの成果は平成26年度以降の研究でも活用できると考えている.

今後の研究の推進方策

残り2年間の前半は,引き続き配置アルゴリズムの開発とGPUを用いたプログラムの実装を中心に研究を行う.特に前年度に収集された新しい事例について集中的に作業を進める.その後は,配置された基本形状の特徴量の表示と出力に研究の主軸を移す.機械設計に用いるCADシステムでは,CAE解析の結果をCADモデル表面のポリゴンにレンダリングすることが一般的となっている.そこで本研究でも,製造性や安全性などを評価した結果,問題有りと認識された部分の周囲のポリゴンを色分け表示することを予定している.
企業にインタビューすると,問題ありと認識された形状を,改めてCADシステムに取り込み,設計修正で活用したいという要望をよく聞く.そこで,表面の色分け表示に加えて,その部分を構成するポリゴンをSTL形式などで出力する機能を実現する.これらを実装後に試作システムを企業に提供し,その性能に関して実務者の評価を得る.

次年度の研究費の使用計画

以下に示す2つの理由により次年度使用額が発生した.
(1)購入予定のグラフィックスコンピュータと同程度の性能でより安価のものを購入することができた.
(2)平成26年度に非常に高性能のGPUが登場するとの情報があり,コンピュータの購入を1台分先送りした.
平成26年度に高性能なGPUが市販開始となり次第,それを搭載したグラフィックスコンピュータを導入することを予定している.それ以外については,当初案通りの物品購入や旅費等の利用を予定している.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Automatic detection of the optimal ejecting direction based on a discrete Gauss map2014

    • 著者名/発表者名
      Masatomo Inui, Hidekazu Kamei and Nobuyuki Umezu
    • 雑誌名

      Journal of Computational Design and Engineering

      巻: 1 ページ: 48-54

    • DOI

      10.7315/JCDE.2014.005

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Fast Detection of Head Colliding Shapes on Automobile Parts2013

    • 著者名/発表者名
      Masatomo Inui and Nobuyuki Umezu
    • 雑誌名

      Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing

      巻: 7 ページ: 818-826

    • DOI

      10.1299/jamdsm.7.818

    • 査読あり
  • [学会発表] Automatic Detection of the Optimal Ejecting Direction Based on a Discrete Gauss Map2013

    • 著者名/発表者名
      Masatomo Inui
    • 学会等名
      2013 Asian Conference on Designing and Digital Engineering, ACDDE 2013
    • 発表場所
      Seoul, Korea
    • 年月日
      20130812-20130814
  • [図書] GPU並列図形処理入門2014

    • 著者名/発表者名
      乾正知
    • 総ページ数
      337
    • 出版者
      技術評論社

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公開日: 2015-05-28  

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