研究課題/領域番号 |
25420083
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
佐藤 恭一 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30262405)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | メカトロニクス / フルードパワーシステム / 電機駆動 / ポンプ / 流体制御 / 動力伝達 |
研究実績の概要 |
各種産業機械のモーションコントロールにおいて,従来,油圧・空気圧動力を利用した流体駆動式アクチュエータは,その機能が電気駆動式へと移行が進んでいる.一方では,大型プレス機械,大型建設機械など,油圧による流体駆動式アクチュエータでなければ成立しない大出力領域も依然存在する.当研究では,高度な制御には欠かせないがパワーロスの要因でもある油圧制御弁を排除し,高速・高精度制御が可能なサーボモータを駆動源とする油圧ポンプの流量制御により直接油圧アクチュエータの運動を制御する高効率流体動力伝達系を構築する.これにより,きわめて高い省エネルギー性能と大出力の高速・高精度制御性能を両立した流体駆動系を実現し,産業機械の課題であるエネルギー効率向上の技術発展に寄与することを目的とする. 平成26年度では,サーボモータ一体型電動ポンプを設計,試作し,駆動システムの構築により,流体動力の制御性能を評価した.試作したモータ一体型電動ポンプは,モータ回転子とポンプ要素が一体化した,モータ回転子がポンプインペラを兼ねる構造であり,ポンプユニット外から,駆動軸を介さずに直接インペラを電磁力によるトルクで駆動できる.このインペラのトルク制御と回転速度制御により,所望の流体動力を発生できることを確認した.ターボ型のインペラポンプは大流量低圧力の流体動力制御に向くが,産業機械の油圧システムでは,比較的低流量ではあるが高圧力を発生できる容積型のポンプユニットが必要であり,今年度の研究では並行してモータ回転子-シリンダブロック一体型の容積形ポンプの基本設計と,シミュレーションによる性能予測,省動力化予測を行った. 平成27年度は,工場設備や建設機械の油圧システムを対象に,高圧力と流量の必要に応じてポンプ回転数,駆動トルクを制御するオンデマンド駆動システムを構築し,その高伝達効率化の成果を評価する計画である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度計画に遅れることなく,ポンプ駆動源となる電動モータについて,従来のACサーボモータとほぼ同等の応答性で,永久磁石を用いないスイッチトリラクタンスモータにより,正逆転の回転速度制御,トルク制御が行えることを示した.この駆動原理を用いて,モータ回転子-インペラ一体型のターボ型ポンプを設計,試作し,流体動力を制御可能であることを明らかにした.さらに,高圧力を発生できる容積型のポンプユニットであるモータ回転子-シリンダブロック一体型の容積形ポンプの基本設計と,シミュレーションによる性能予測,省動力化予測を行い,平成27年度研究計画につながる準備研究も実施することができた.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度(最終年度)では,スイッチトリラクタンスモータ構造のサーボモータ一体型電動油圧ポンプと油圧シリンダから成るバルブレスサーボシリンダシステムを構成し,従来の弁制御の油圧システムと消費動力,操作性などの観点から,比較,評価し,高応答性と省エネ性について有効であることを確認する.さらに,建設機械(研究代表者の研究室で所有)の作業機のモーションコントロールに適用し,実機試験を行って建機作業における省エネ性能を調べ,建設機械の燃費性能,エミッション等,環境負荷低減とバッテリーを動力源とする電動化の観点からの評価を行う.
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