研究実績の概要 |
各種産業機械のモーションコントロールにおいて,従来,油圧・空気圧動力を利用した流体駆動式アクチュエータは,その機能が電気駆動式へと移行が進んでいる.一方で,大型プレス機械,大型建設機械など,油圧による流体駆動式アクチュエータでなければ成立しない大出力領域も依然存在する.当研究では,高度な油圧制御には欠かせないがパワーロスの要因でもある油圧制御弁を排除し,高速・高精度制御が可能なサーボモータを駆動源とする油圧ポンプの流量制御により直接油圧アクチュエータの運動を制御する高効率流体動力伝達系を構築する.これにより,きわめて高い省動力性能と大出力の高速・高精度制御性能を両立した流体駆動系を実現し,産業機械の課題である動力伝達効率向上の技術発展に寄与することを目的とする. モータの基本形状はスイッチトリラクタンスモータ(Switched Reluctance Motor, SRM)とし,SRM回転子の機能とインペラ(ターボ機械)もしくはシリンダブロック(容積機械)の機能を両立するための設計方法を構築する.当研究では,SRM回転子一体型インペラにより,外部からの駆動軸を必要としないインラインポンプの流量制御システムを構築し,オンデマンド流体動力の制御を実現した. さらに,SRM回転子内にシリンダブロックを内蔵する油圧ポンプ・電動モータ一体型構造を設計するとともに,SRMのサーボモータ化のための駆動方式を開発し,駆動と回生が可能な油圧閉回路用高効率油圧動力制御系を構築した.この省動力効果をSRサーボモータで駆動する固定容量油圧ポンプを用いた流量制御系で確認し,油圧制御弁を用いない高効率動力伝達を実現した.
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