研究課題/領域番号 |
25420084
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
尾崎 伸吾 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20408727)
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研究分担者 |
山梨 裕希 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70467059)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | テラメカニクス / 粒状体 / 個別要素法 / せん断試験 / 低重力 / 摩擦 |
研究実績の概要 |
将来の月面探査においては,探査船の着陸,探査ローバーの走行,月面地盤の穿孔・掘削など,月面土壌(レゴリス)を対象としたオペレーションが多数見込まれる.このようなオペレーションの技術的ネックポイントの一つに,月レゴリス-機械系の接触・摩擦・変形現象の把握が挙げられる.これは,「超過圧密・軟弱表層」や「低重力・高真空」に代表されるよう,月面は地上とは異なる環境下に置かれており,これらの影響をどのように予測・評価するのかが,月面機器の作業性能などに大きく係るためである.特に,レゴリス-機械系の力学的相互作用に及ぼす高真空環境の影響はある程度明らかになっているが,低重力環境に関しては未解明な点が残されていると考えられる. 斯様な状況の下,著者らは昨年度までに数値シミュレーション解析での利用を想定した,粒状体の接触・摩擦・変形現象に関するパラメータの新しい測定方法として,『低重力環境下を模擬した室内力学試験法』を提案している.具体的には,磁場印加デバイスを摩擦試験装置に組み込むことで,重力に抗する磁力を発生させた空間,すなわち磁性体の性質を利用して疑似的に低重力場を再現した空間を準備し,その場での摩擦せん断試験を可能とする方法である.しかしながら,実現できる低重力効果が10%程度であり,有効な結果が得られていないのが現状である.そこで本年度は,まず,より効果的な低重力効果が得られるように,磁場印加デバイスの拡張を行った.次に,拡張した磁場印加デバイスの供給電流量と低重力効果の関係について,キャリブレーションを実施した結果,低重力効果を25%まで増加させることに成功した.また,磁場印加デバイスを回転せん断試験装置に組み込んで回転せん断試験を実施し,低重力効果が粒状体の摩擦相互作用に関するパラメータに及ぼす影響について検証を行った.現在,最終年度に向けて試験データの蓄積に努めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
冷却機構を具備した試験装置の作製に成功しており,実際に疑似低重力下でのせん断摩擦試験装置として完成させた.また,個別要素法に基づく数値シミュレーション解析にも既に着手している.
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今後の研究の推進方策 |
開発した試験装置を用いた低重力場での粒状体の摩擦試験データの蓄積に努める.これと並行して個別要素法解析を実施し,低重力効果が粒状体の摩擦相互作用に関するパラメータに及ぼす影響について明らかにする.最終的に,数値シミュレーション指針としてまとめる.
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次年度使用額が生じた理由 |
試験用消耗品(ひずみゲージ,接着剤)が当初の見積よりも安く購入できたため,次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の消耗品の購入に充当する予定である.
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