研究課題/領域番号 |
25420088
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
柳田 秀記 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90166554)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 電気流体力学 / 電荷注入 / EHDポンプ / 静電フィルタ / 数値シミュレーション |
研究実績の概要 |
H26年度は,数値シミュレーションによる性能予測に不可欠な情報である(1)電荷注入領域の特定,(2)イオン移動度の推定について引き続き検討するとともに,電荷注入現象の応用研究として,(3)液体用電気流体力学ポンプ(EHDポンプ)特性に及ぼす電極形状と物性値の影響,(4) 空気用EHDポンプ特性に及ぼす電極形状の影響,(5)電荷注入式静電フィルタ内の粒子軌道予測について取り組んだ. 課題(1)についてはH25年度の成果を裏付ける結果を得たが,意図しているほどの精度が得られず,実験装置を改良して課題(2)とともにH27年度中に再度検討する予定である.課題(3)については,電荷注入現象を利用したEHDポンプの2次元および3次元形状を対象として,ポンプ特性に及ぼすポンプ形状と液体物性の影響を数値シミュレーションにより調べ,従来,主として試行錯誤的に決定されていたEHDポンプの各種形状は必ずしも適切ではないことを明らかにした.また,3次元形状の電極構成にすると2次元形状電極よりも高い電界集中により,発生圧力が少し高くなるものの放電の可能性を考慮すると2次元形状が適切であることを示した. 空気を対象とした課題(4)については,種々の電極構成を用いて発生する最大流速や圧量‐流量特性を実験的に明らかにし,数値シミュレーションにより結果の考察を行い,針‐メッシュ電極構成が空気用EHDポンプとしては最も良好であることなどを明らかにした.電荷注入現象を利用する静電フィルタの性能予測ならびに改良を目的として,課題(5)を実施した.数値シミュレーションにより求めた静電フィルタ内の電場と流れ場を用いて,フィルタ内を通過する汚染物粒子の軌道計算を行い,粒子の捕捉状況を予測した.電極間に挿入するフィルタエレメントが,現状の形状では粒子捕捉に関して十分機能していないことを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実効的なイオン移動度の決定方法については意図したほどの成果が得られていない点がややマイナス評価であるが,応用対象であるEHDポンプの性能に及ぼす電極形状等の影響や,数値シミュレーションによる静電フィルタの性能予測については良好な成果を得ており,総合的に判断するとおおむね順調と言える.
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今後の研究の推進方策 |
引き続きH26年度の研究項目である電荷注入領域,注入電荷密度の定式化,実効的なイオン移動度の値の決定方法について取り組む.特に実効的なイオン移動度の値の決定方法に重きを置いて検討する.電気流体力学現象の応用対象であるEHDポンプと静電フィルタのそれぞれについて,数値シミュレーションと実験を行い,数値シミュレーションの精度向上に取り組むとともに,両応用対象の高性能化を目指す.EHDポンプについては,物性値の影響を広く調べるとともに,単極性電荷注入だけでなく両極性電荷注入の効果についても影響を調べる.静電フィルタについては,浄化速度をより高められる電極とフィルタエレメントの形状および運転条件について知見を得る.
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次年度使用額が生じた理由 |
成果発表のための国際シンポジウム出張がタイミング良く計画できず,旅費の使用額が少なくなったことが理由であるが,次年度使用額は決して多くなく,ほぼ計画通りに執行したと受け止めている.
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次年度使用額の使用計画 |
H27年度配分予定額と合わせて,試験液体などの消耗品の購入や成果発表のための旅費として使用する計画である.
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