H27年度の主な研究内容は(1)EHDポンプ特性に及ぼす液体物性の影響を調べること,(2)数値シミュレーションの妥当性の検証のため,EHDポンプを作製して性能評価を行い,数値シミュレーション結果との比較を行うこと,および,(3)電荷注入式静電フィルタの性能予測に関して,数値シミュレーションにより粒子の捕捉効率を評価するとともに,流速と粘度を変化させて捕捉効率を実験により調べ,数値シミュレーションの有効性を評価すること,である. (1)に関しては,2次元的形状の電極構成のEHDポンプを対象として,液体の密度,粘度,イオン移動度,誘電率がEHDポンプ特性に及ぼす影響を調査した.液体の粘度と密度が低く,誘電率が高い液体で圧力・流量特性が向上することが示されたが,特に粘度の影響が大きいことが明らかとなった.また,液体物性の違いにより最適な電極の寸法が異なることも示され,液体の物性とポンプの要求仕様に応じてポンプの形状と寸法を決定することが重要であることを示した.(2)のEHDポンプの実験結果との比較では,製作誤差の影響を考慮すると数値シミュレーション結果と実験結果が比較的良好に一致することが示され,本研究で提示する数値シミュレーション法の妥当性が示された.また,(3)に関しては,電荷注入式静電フィルタの粒子捕捉効率の数値シミュレーション結果は定性的に実験結果と一致することが明らかとなり,粒子軌跡シミュレーションはフィルタの性能予測に有効であることが示された.ただし,定量的な一致度は良好ではないため,予測精度向上のためには,電荷注入による粒子帯電量の変化を測定することが重要となること,また,実際の3次元形状を考慮した数値シミュレーションが必要であることを指摘して,今後の課題とした.
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