研究課題/領域番号 |
25420090
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
原田 利宣 和歌山大学, システム工学部, 教授 (80294304)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | CAD / 対数美的曲面 / 曲線・曲面 / 造形支援システム / データマイニング / ピクトグラム / ユーザインタフェース / 複合現実 |
研究実績の概要 |
一般に,自動車におけるデザイン工程では,意図する映りこみ形状やハイライトを生じる曲面をCADシステム上で直接,創成することは難しく,デザイナは実際のモデルを利用し,勘や経験によりその曲面形状を創成し,それを計測して3Dデータを作るなど,試行錯誤を繰り返して意図する曲面形状を得ている. そこで,本年度の研究では,ジェスチャ操作によって,高品質な曲面である対数美的曲面を創成・制御可能かつ,現実空間における光源環境を再現し,映りこみ形状を再現・評価できるシステムを開発することを目的とした.具体的には,非接触式のモーションキャプチャセンサを用い,画面上に表示された対数美的曲面を,現実の薄い鉄板を曲げ,捩じるような自然な動作で対数美的曲面の制御パラメータを制御するシステムの開発を行った.また,全天球画像を球面調和解析した結果を用い,映りこみ形状のシミュレーションを行った.最後に,本システムを用いたユーザインタフェース,ユーザがどの程度の精度で曲面を制御できるのかの評価実験を行った.その結果,制御パラメータ値の曲率半径,捩率半径が200以上である場合,映りこみ形状を意図した曲面制御が高い精度で行え,ジェスチャによる曲面形状の制御が有効であることが確認された. また,同時に,曲面創成システムをコントロール画面に応用するための,アイコン(ピクトグラム)の研究も行っている.本年度の研究では,分かりやすさに関する色彩表現を用いたピクトグラムにおける視覚言語の抽出とその評価を行った.具体的には,代表的カラーピクトグラム7語の分かりやすさの評価を行い,その結果を用いた実験計画法とクラスター分析からその特徴を考察した.さらに,それらの分析結果をもとに6つの視覚言語を抽出し,その評価を行った.その結果,視覚言語を適用した多くのピクトグラムの分かりやすさの評価が向上し,それらの視覚言語の有用性を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初,難関と思われていた,ジェスチャ操作によって,高品質な曲面である対数美的曲面を創成・制御可能かつ,現実空間における光源環境を再現し,映りこみ形状を再現・評価できるシステムが開発されたからである.また,形成外科手術への適用を考えて,人の顔の曲面計測も順調に進行している.昨年度だけで100人を超える人の顔の計測を行った.さらに,システムに応用するためのアイコン(ピクトグラム)のデザインに関する研究も順調に進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
今後も,曲面サンプルの入手,計測には多大な労力が必要であるが,平成27年度も当研究室院生3名による曲面データの計測,分析体制が整っており,順調に進行するものと考える.今のところ,研究計画に大きな変更はない.ただ,やみくもに自然造形物の曲面を計測するのではなく,工業デザインや医療(形成外科手術)などに応用できるものにしたいと考えている.また,造形支援システムを開発する際に必要な直感的に理解できるアイコンの開発も重要と考え,今年度はそちらにも力を注ぐ予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は計画通り602,545円を使用する予定であったが,2015年開催の国際会議IASDR2015に参加することを決め,その費用を2015年に残すために,国内会議の発表を1件にとどめた結果,生じた残額である.
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次年度使用額の使用計画 |
2014年度の残額である376,297円と2015年度の予算700,000円を合わせた1,076,297円のうち,約70万円は国際会議への出張費,参加費(2名分)として,残りを国内会議への出張費,参加費として使用予定である.
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