研究課題/領域番号 |
25420090
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
原田 利宣 和歌山大学, システム工学部, 教授 (80294304)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 曲線・曲面 / 造形支援システム / ヴァーチャルリアリティ / デジタルアーカイブ / 視覚言語 / データマイニング / 感性工学 / GUI |
研究実績の概要 |
平成27年度は,以下の2つの研究を実施した. 1.まず,美しい曲線(面)の事例収集として,人の上眼瞼形状をサンプルとした.人の顔の中でも眼という身体部位には様々な情報が掲示されていることから相手に与える印象の中でも大きな役割を果たしているからである.しかし,上眼瞼形状を含んだ人の眼の形に関する印象を明確にしている研究は未だ少ない.そこで,上眼瞼形状の曲線の分析・体系化を行い,形状の特徴を明らかにすることを目的とした.具体的には,日本人100名の眼の2次元画像データを取得し,曲線の性質分析を行った結果,男性は5タイプ,女性は6タイプに分類した.また,3次元形状特徴である眼瞼突出量の計測を行い,眼瞼突出形状の曲線の分析・体系化を行った結果,男性,女性それぞれ3タイプに分類できた.この結果を用いて,3次元形状特徴と上眼瞼形状との関係を検証した. 2.また,曲面創成を直感的に可能とするインタフェースの中核をなす,ピクトグラムデザインの研究を継続した.近年のタブレット端末の普及により,多種多様なアイコンを目にする機会が増えてきている.しかし,ユーザの認知過程や嗜好性の違いにより理解度や魅力度が異なっている.そこで,ラフ集合理論を用いたアイコンの分かりやすさおよび魅力の分析とそのデザイン指針の提案を目的とした.具体的には,アイコンの分かりやすさと魅力度について調査実験を行い,その結果から,どの属性が魅力度や分かりやすさに影響しているかを明らかにするため,ラフ集合理論を用いて各被験者の決定ルールを求めた.また,求められた決定ルールより全被験者間の距離を算出し,クラスター分析を用いて被験者を分類した.最後に,以上の結果をデザイン指針としてまとめ,その有用性の検証を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は美しい曲線・面のアーカイブとして,人の顔の中でも特に注目度が高い眼に焦点を当てて研究を行った.その分析結果も有用なものが得られたからである.また,システム化の際に直感的に制御を可能とするアイコン(ピクトグラム)のデザインに関する研究も順調に進んでいると考える.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は本研究の最終年度である.システムをより有用なものにするため,曲線・面アーカイブに自然造形物も含めたいと考えている.特に,動物の骨格形状や外形の曲線・面の計測を予定している.また,人の顔の曲線・面の計測,分析も引き続き行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は国際会議に参加するため平成26年度の予算を38万円ほど残した.しかし,当初70万円ほど見込んでいた旅費が60万円ほどだったこと,また国内での学会発表を予定があわず見送ったことなどで,20万円ほどの残額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の残額205,395円と平成28年度の予算800,000円を合わせた1,005,395円のうち,学会発表/調査旅費に40万円,謝金25万円,論文投稿/掲載費20万円,消耗品15万円ほどを予定している.
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